2010年8月8日日曜日

8/8 オールブラックス vs ワラビーズ 第2戦 観戦記

 オールブラックスは無難にワラビーズに9連勝を果たしブエレデスローカップをそして、トライネーションのカップを手にしました。

 無難にと言っても先週のゲームとはまた違う、伝統的な硬い、激しいゲームとなりオールブラックスが圧勝することを期待していた人には少し拍子抜けのゲームだったかもしれません。

 ゲーム開始から15分の間にまたもや両軍から3つのトライが生まれて、展開の早いゲームの予感がよぎりましたが、ゲームが進むつれお互い安定した攻防に戻り、ワラビーズもさすがに先週とは一段上がった攻防を見せ、そしてこのゲームでは久しぶりに誰もイエローカードを受けないという内容だったので後半は3-0といういつも通りと言えばいつものこの伝統的な対戦のゲームが見られました。

 ワラビーズも今回はしっかりとデフェンスを固め、アタックは自陣からボールを回して前進していくプランでしたが、さすがにオールブラックスと比べるとその精度は劣る感じでした。パス回しでミスが多く出て、ブレイクダウンでもボールを取られ、ラックからの球出しも連続では早く続けることが出来ず、どうしても流れが停まる。

 これを誘い出したのは全てがオールブラックスのデフェンスが素晴らしかったわけですが、オフサイドぎりぎりの攻めあがるデフェンスが相手の全身を食い止め、パスミスを誘い、そしてブレイクダウンではマッコウを初めとしたABフォワード陣がしっかりとボールを奪い取っていく。

 ワラビーズはこのようにボールの所持率は終始ABより高かったのですが、ABのデフェンスラインの前で立ち往生する感じで、やがてパスミスやノックオンで流れが止まったり、また後半60分過ぎですでにブレイクダウンにおけるボールを奪う数がABが7つに対してワラビーズが1ツだけという結果からも分かるようにとかくワラビーズの前進を激しいデフェンスで食い止めました。

 またスクラムも素晴らしい出来でした。終始ABの強力な押しがワラビーズのスクラムを圧倒して、特にAB陣地深く攻め込んだところでのワラビーズスクラムを押し返す姿が何度か見られ圧倒的強さというのがこの日はスクラムに見られました。

 この日オールブラックスのバックス陣が活躍する姿はあまり見られなかったのですが、カーターがこの日は良くラインブレイクでボールをもって突っ込んでいく姿が見られ、これがまた上手く機能していました。そしてこの日のワラビーズの戦術を見て取って、後半からは特にABのアタックも自陣からボールを回すこと無くカーターが上手くワラビーズ陣地のサイドラインに蹴り出してテリトリーを取っていく戦法では、その絶妙なキック操作はさすがに思えました。

 そして今回先発ハーフバックに入ったピリ・ウィープも良かったです。自らラインに突っ込んでいったり、キックでボールを送ることはほとんどせずにラックからのパスだしがABのアタックに非常に効果的に利いていました。そのパスがとても速くて、距離も出る。そして何よりもパスのタイミングと場所が絶妙。後ろから走りこんでくるアタッカーの胸のところに、高くも無く、低すぎることも無い、そして相手の後ろでも前過ぎることの無いところにボールが出されるのでアタッカーもボールを受けた姿勢のままデフェンスラインに突っ込んでいけます。これでまた前進する距離が何mも変わってきます。このままピリ・ウィープとジミー・コーワンの2枚看板のまま来年まで続いてくれる事を強く願います。

 このピリ・ウィープがこの日も先導するハカ(今回もパカ・オ・パンガだった)で始まったゲームはカーターのキックオフ後ワラビーズがボールを自陣から回し前進することを見せますが、最初からABの攻めあがるデフェンスは強力、スクラムも最初から圧倒、そしてブレイクダウンでは上手くボールを奪い去りワラビーズは攻めているけど後退して行き、最終的にはやっぱりキックでAB陣地へとボールを送る羽目になります。

 そのキックボールをABバックスはクイックスローですばやく戻し、カウンターアタックに出ます。この日もABのバックスの連携は素晴らしく、あっという間に自陣から敵陣へ、そして左サイドから右サイドへと相手のデフェンスラインが出来ていない穴へと走りこんでいきます。7分にその右サイドサインのクイックスローから始まるABバックスのカウンターアタックはムレアイーナが最後は左サイドラインを駆け抜け先制のトライ。その左端からのコンバージョンキックもホームグランドであるカーターがBeautifulに決めて7-0とします。

 しかしこのカーターがこの後小さなミスを犯します。ワラビーズのキックオフの後ABは自陣からすばやいボール回しで攻め込み直ぐにワラビーズ陣地10mのところまで入りますが、ラックからのボールを受けたカーターがデフェンスラインにボールを持って走りこんだところにマット・ギットウとディーン・マム2人がかりのタックルを受けてボールを前にこぼします。これをすばやく拾ったポコックがネイザン・シャープにパス。そして後ろから走ってきたカートリー・ビールに上手くパスがすばやく渡ったところでビールは独走状態になり追いすがるカーターとコーリー・ジェーンを置き去りにして60m独走とトライをとります。これであっという間に7-7の同点に。

 このl辺りはこのゲームもまた激しい点の取り合いが展開されそうな感じでしたが、その通りこの後直ぐにまたトライが生まれます。カーターのキックオフボールをしっかり取ったワラビーズは(この日は先週と違いこのキックオフボールはしっかりとワラビーズも押さえていました。)自陣からまたボールを回しますが、22mライン手前でノックオン。ABスクラムになりますが、この際スクラムの左後ろ側に流れるバックスラインはロコソコ/カーター/ノヌ。そして左サイドライン際のWingポジションにコンラッド・スミスという体型でした。

 このスクラムからのボールは一旦ブラインドサイドの右側に回されますが、直ぐに右サイドラインにつまり、中央へボールは返されます。一度カーターが中央22mライン付近でデフェンスラインに突っ込み、倒されながらもピリ・ウィープにパス。ここからのウィ-プのパスがすばやく、長い。中央から左寄りに待ち構えるノヌに長いパスが渡るとノヌは22m内に突っ込んでいく。それをワラビーズデフェンスは待ち構えるのですが、ノヌは突っ込む前に左サイドライン際のコンラッド・スミスに走りながらもパスを出す。これを受けたスミスがサイドラインに沿って真っ直ぐと突っ込み、相手のオコーナーと、カートリー・ビールのタックルを受けながらも左隅にトライを取ります。カーターのコンバージョンがまた左端から決まり14-7となります。ここまでがゲーム開始から15分。また早くて内容の濃いゲームになりそうでしたが、このあとはお互いトライを取ることが出来なくなります。

 ワラビーズもテンポが上がりますが攻めきれず、オールブラックスもワラビーズのデフェンスに決定打を打てず、ましてボールを奪い返すのも難しくなります。しかしオールブラックスのデフェンスタックルの精度は落ちず(後半最後の方は、ABのタックル回数はワラビーズのそれの倍近い回数となりました。)、デフェンスのプレッシャーも終始きつくかけ続けられ、ワラビーズにはこの後ペナルティーキックを一本だけ与えるに留まりオールブラックスが守り通しました。

ワラビーズ 20-10 オールブラックス (前半17-10)

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