このゲームは見返してみても白熱のいいゲームだったと思います。確かにTVで見ると反則の内容やレフリーが何を言っていたかが分かっていいものですがその迫力がなかなか伝わらないようなこともありますが、このゲームはその熱いところが良く分かるゲームではないでしょうか?
ゲームは最初やはり地元NZの期待通りABが先行して、早い展開に持ち込みNZペースで行くように思えました。4分にシャック・バーガーによるカーターに対してのハイタックルから3点先行し、9分にもペナルティーから3点追加していい感じだったのですが、この日も南アフリカは負けずにガンガン攻め込んでくる。お互い早い展開、ハイキックを使って相手陣地にボールを爆弾を落として攻め込んでくる
この日キッカーとして南アフリカの先発で入ったパーシー・モンゴメリーはベテランらしい働きで自陣22m内に送られたキックボールも上手くかえし、11分には3点を返すペナルティーキックを見せます。
この日南アフリカのABへのタックルはまたもやとても激しいものだったのですが、シャック・バーガーは相変わらず怪物的強さを見せます。アリ・ウィリアムスがボールを持って突っ込んで行ったところにバーガーが立ちふさがり、お互い頭と頭がぶつかってアリ・ウィリアムスは脳震盪気味にうずくまりますが、バーガーはなんとも無い様子。この後ウィりアムスはこの衝突の影響で前半途中ベンチに下がります。
ABはボールを上手く細かくつないで左右に展開しながらも時折縦に突っ込んではブレイクポイントを作リ攻め込み、これに対して戻りが遅いとすぐにオフサイドになってしまうのですが、15分にこれでABはペナルティーから9-3とします。
この後のキックオフでもそうでしたが、南アフリカのキックオフボールはAB陣地とても奥深くまで蹴り込みます。ABが簡単にはボールをサイドライン外に蹴り出さない所から、ボールを回してきたら22m内でそれを捕まえボールを奪い攻め立てる戦法で来ます。またハイキックのボールも22mライン付近に落として攻め込んできます。これが功を奏して18分と21分連続ペナルティーキックを決めあっさり9-9の同点にします。
また先週のトライネーションのゲームから新たに新ルールの内容として採用されるようになったラインアウトでの人数は2人以上なら何人でも構わないという項目を南アフリカは上手く使います。AB陣地でのラインアウトに立つのは3人だけ。攻め込まれているABはこれに対して6人並ぶますがこうするとボールをとった後展開していくと最後にはどうしても南アフリカのほうが人数が余る。これで30分にはABゴールライン手前までバックスが入り込みます。
この時点でアリ・ウィリアムスはベンチに下がり新人のケビン・オニールが入っていましたが、ここでABのラインアウトは失敗して南アフリカはABゴールライン手前5mのスクラムを得ます。このスクラムが組まれるとすぐにNo。8がブラインドサイドに走りこみ右隅に入ったJPピーターソンがパスを受け突っ込んでトライをとります。これで南アフリカは12-14とこの日初めて先行します。
この日の両軍のデフェンスはとてもハードな硬いものでしたが南アフリカのそれは自陣に攻め込まれ始めたら寄り強力になり、ABも攻め立てますが、突破口が出来ません。カーターはこの後何回も見せることになるドロップゴールを先行された後すぐに見せてます。カーターのそれは外れますがこれを見て思いついたのか36分には空いてのブッチ・ジェイムスが見事にドロップゴールを決めて12-17と引き離しにかかります。
このように前半の終わりになると南アフリカの方が上手くゲームを組み立てているような感じが見られてきてちょっとやばいかも?と言った想いが出てきます。しかし前半終了サイレンがなった後も攻め続けていたABが得たペナルティーをカーターが上手く決めて後半への期待を高めます。
後半入り風上に立つABはキックゲームに強いレオン・マクドナルドをシティバツに代えいれてきます。それでも後半はキックボールを使うよりもABはボールを回して自陣から攻め立てる戦法をより多く見せてきます。これに対して南アフリカのデフェンスは崩れず、キックボールで自陣深くまで送られたボールはパーシー・モンゴメリーがしっかり、そしてAB陣地深くに蹴り返してきます。
またこの日も両軍のボールの奪い合いは激しく、一瞬にしてその戦況はひっくり返ります。これが後半始まってから途切れることなくどんどん続くと観客もヒートアップしていきます。そして選手も両軍共にインパクトプレイヤーをベンチから出してきます。南アフリカは46分にセンターに代えフランシス・ステインを、そしてABは53分にジェロモ・カイノに代えシオネ・ラウアキを投入します。
この選手交代でまず効果が現れたのはABのほう。センターライン付近からABはボールを保持しながら攻め込みます。右に左に回しながらも、マアア・ノムやレオン・マクドナルド、そしてWingのルディー・ウォルフが縦に突っ込み陣地を奪い22mライン付近まで来ます。ここまでに7回のブレイクダウンが作られましたが、ボールを生かし続けるAB、そして左隅端から中央へとまた2回のブレイクを経てパスをつないでいく途中コンラッド・スミスが縦に突っ込み隙間を空けます。スミスから出されたパスをアンドリュー・エリスが上手く素早く後ろから駆け寄ってくるラウアキにつなぐとラウアキは一つステップをきって一人デフェンスを交わし、ゴールラインまでがら空きになったところへと走りこむ。これに3人のタックルが彼を追ってきますが、後ろから来るタックルになんかなかなか止められないラウアキはそのままゴールラインに倒れこみトライをとります。
カーターのコンバージョンは難なく決められやっと逆転して22-17となりますが、南アフリカもあせらず流れをつかみにかかります。お互いこの後から最後まですごい激しいボールの奪い合いが続くことになり観客の熱もどんどん上がってきます。風下の南アフリカはこの後パーシー・モンゴメリーがペナルティーキックを一本外し、ステインのドロップ・ゴールも外れますが、62分に攻め込むところでレオン・マクドナルドがこれを外したらトライを確実に取られると言うブライアン・ハバナへのタックルがハイタックルと獲られてブッチ・ジェイムスがこのペナルティー・キックを決め22-20とまた食らいついてきます。今辺りはもうどちらが勝ってもおかしくない状況。そしてこのハイタックルの際レフリーからは次に行われるハイタックルにはどちらにもイエローカードが出される事が両軍キャプテンに伝えられます。
得点を獲られたら逆襲が待っています。キックオフと同時に今度はABが攻め立てます。しかし22mラインをなかなかきれない。そこでカーターは意表をついて弾丸性のドロップゴールを見事に決めます。これには見方もびっくりした様子。これで25-20の1トライ差に。
しかし南アフリカも獲られたらすぐに取り返す。ラインアウトでアダム・トンプソンの起こしたペナルティーをブッチ・ジェイムスが決めて25-23のまた2点差に戻る。これでABはまた攻め込み今度こそはトライか?と思われましたが、最後の最後のところでサイドラインに押し出されています。ぎりぎりのところまで踏ん張る南アフリカのデフェンス。しかしそれもハイタックルとなるとこの時間帯では意味がかなり違うことになりました。シオネ・ラウアキの突進を止めるのに入ったビクター・マットフィールドの腕が首を回っていると判断され警告どおりレフリーからはイエローカードが南アフリカキャプテンに出されます。このときすでに70分をきっていたのでマットフィールドはもうこのゲームには参加できない。14人のまま南アフリカは残り10分を戦うことになります。ましてこのペナルティーで28-23となり1トライ差をつけ多くの人は
ABの勝利が見えたと思います。観客も大盛り上がり。
しかしその興奮が冷めない時間に悲劇が起こります。南アフリカキックオフボールがセンターラインまでABのキックにより戻されると南アフリカはボールを展開して攻め込みはじめます。2つのブレイクダウンが出来た後そのボールを出しに入った9;リッキー・ジャニュアリーが横にパスを出すようなフェイントをかける
とデフェンスにいたニーミア・ティアラタとシオネ・ラウアキがそれにつられてこの二人の間にぽっかりと穴が出来る。これを見逃さず走りこむジャニュアリーは22mライン手前まで来て前からフルバックのレオン・マクドナルドが駆け寄ってくるのを見て取ると小さくボールをマクドナルドの頭を越えるように蹴り上げます。そしてマクドナルドを追い越し、ボールに追いつき、胸元にボールを獲ると後は誰も邪魔するもののいないゴールラインめがけダイビングトライ。
TV画面には南アフリカ首脳陣がモニター室で見ているところが映されましたが、このトライをとったときには南アフリカの監督が両手を握り締めたままで机をバンバン叩いて喜ぶ姿がとても印象的でした。
はっきり言って球場の観客の多くには何があったか分かってなかったと思います。気づいたときにはスコアーボードには28-28の同点になっている。やっと状況が分かった観客はこの後のコンバージョンを蹴るフランシス・ステインに対して精一杯のブーイングを送りますが、風下にも負けずステインの蹴ったボールはゴールポストのど真ん中に吸い込まれていきました。
けれどまだ時間は4分残っている。ABはキックオフ後すぐにカーターがドロップゴールを試みますが外れる。時間をかけてドロップオフされたボールを獲ったマアア・ノムが見事な中央突破を見せますが、22mラインで止められる。彼は2度これ尾W見せますが、2度目につかまった際にホールドを獲られボールは南アフリカへ。時間は78分に。
南アフリカがサイドラインに蹴りだしたラインアウトからABは最後の攻撃を掛けます。カーターを10mライン上に待たせて、狭い範囲でピック&ゴーを試みます。そのうちに球場には終了のサイレンが鳴り響く。
何度目かのピック&ゴーで中央付近まで来たところでやっとカーターにボールが出される。これに猛烈な勢いでダッシュしてくる南アフリカデフェンス。少しカーターへのボールが高めに浮いたこともあってカーターが蹴る体勢に入るときには完全に南アフリカデフェンスが目の前まで押し寄せていました。それでも蹴りつけた
ボールはしっかり'チャージされ、それがまたステインの前に転がる、カーターもすぐに拾いにかかるがステインがしっかりボールを拾い、AB陣地へとボールをがっちり抱えたまま走り込みます。この時点で後ろにいたハバナは両手を挙げて勝利を喜んでいたのを私は見ました。そしてAB陣地に入ったところで倒されたステインからはボールがしっかり後ろに出されてこれを拾ったJPピーターソンがサイドラインに蹴りだし南アフリカ歓喜の勝利となりました。
2008年7月13日日曜日
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