2009年9月20日日曜日

9/20 オールブラックスvsワラビーズ 第3戦 観戦記

 オールブラックスは最後のゲームで選手もコーチ陣もそしてサポーターもみんなが満足するゲームが出来てワラビーズを粉砕しました。

 まるで南アフリカ戦の失敗を逆にワラビーズに叩きつけるように、キックゲームを手中に収め、ブレイクダウンを支配して、そしてあのラインアウトボールを奪うことによって最後は圧倒的なアタッキングゲームを見せつけてくれました。

 またもやこのゲームではキャプテン;リチャード・マッコウがどこでも姿を見せる活躍で他の選手をどんどん引っ張り続け、このゲームで久しぶり、もしくは新たに出場した選手は皆誰もがその期待されたプレイを十分に発揮しました。

 前半まではワラビーズにも勝てるチャンスはあったと思われたのですが、得点すべきところでオールブラックスの大きな壁に跳ね返され、時間が経つにつれどんどんボールを持つこともテリトリーを維持することさえ出来なくなってしまいました。一つのトライが取れれば形勢も変わっていたと思われたのですが、このゲームではまたもや得点力不足を露呈して前半に6点を挙げた後、後半は完封されての惨敗となりました。南アフリカを破ったパフォーマンスを期待したのですが、オールブラックスによってそれも出せないまま終わってしまいました。

 ゲーム開始からこの日のオールブラックスは攻めて攻めて攻め倒すような勢いを見せつけます。ボールを展開するのも早く、ミスも無くつなげて走り回ります。キックボールはカーターに任せ、ほかは全員参加でのランニングラグビーを最初から見せました。

 これに対してワラビーズもランニングラグビーで立ち向かう。そして前半最初はワラビーズのデフェンスも硬いように思われました。

 得点経過はキックオフと共に攻め込んだオールブラックスがワラビーズ陣地で最初得たペナルティーをカーターにとっては珍しくゴールポストをわずかに外し先行を逃した後は、ABのオフサイドからギットウが先行の3点をキックで取ります。

 その後すぐにワラビーズが攻め込んでペナルティーを取りますが、これはギットウ外します。

 そして流れを常にオールブラックスに引き戻し続けてのは全員の攻撃姿勢でした。この日のABバックスは誰もが勢いに乗って素晴らしい働きを見せ、シティバツの怪我で先発に入ったコーリー・ジェーンがこれまで問題視されていたハイキックの処理を抜群のスキルでさばき、センターに入ったイサイア・トエアバは破壊力のある走りと共に他の選手とのポジショニングも素晴らしい物を見せ付け、ムレアイーナもこの日目立たなかったけど常に攻撃の口火を切る動きを見せ、そしてマアア・ノヌは期待通りの爆発的な強力ブレイクを何度も見せてくれました。

 このバックスの働きから12分に3-3にするペナルティーを得た後、フォワードの働きによりすぐに6-3とします。特にこの日キックオフ後ボールを果敢に取りに向かっていったのはマッコウで、しかも相手陣地22m内でのラインアウトはこの日3人だけのショートラインアウトで、最初のラインアウトをミスしたボールに突っ込んでいって上手く穴埋めしたのもマッコウでした。

 このキャプテンの働きに加えて、この日先発したアダム・トンプソン、そしてロックのトム・ドネリーともラインアウト、ブレイクダウンそしてデフェンスタックルでも十分な働きを見せ付けました。

 21分にABがラックでのペナルティーから3点追加した後ワラビーズにも流れがやってくるのですが、ABがそれを跳ね返し、逆にゲームを決めるような得点を挙げます。

 ワラビーズの攻撃でこの日活躍が目だったのはティーンエイジャーのジェイムス・オコーナーでしたが、彼がボールを持って壁をすり抜けて行っても後に続くものがいない。それはこの日警戒されていたアダムアシュレー・クーパーにも言えました。

 27分にAB陣地22m内に入り込んだワラビーズの攻撃もそこから前には進めず、オコーナーのアタックに対してトエアバのタックルが首に周り、アドバンテージの手が上げられた直後にデフェンスライン裏からベリック・バーンズが見事なドロップゴールを決め9-6とします。そしてこの危険なタックルの為トエアバは一発イエローカードを出されます。

 この3点を加え、14人になったABに対してワラビーズは攻め時だったのですが、ABは攻めて守ります。ワラビーズ陣地に居座るようにボールをキックでワラビーズ陣地に戻します。そしてワラビーズが攻めあがるために蹴りあげたボールを上手く処理して手薄になったワラビーズ陣地にムレアイーナが絶妙なキックボールをあげます。これは南アフリカが今年良く見せた戦法。このキックボール落下地点に突っ込んでいったのがコーリー・ジェーンで、彼はボールがジェイムス・オコーナーにとられる前に大きくジャンプしてボールを奪う、上手くキャッチできず前にはじきますが、その弾いたボールを着地と同時にしっかり取って、オコーナーを置き去りにしてゴールラインにまっしぐら。追いすがるドリュー・ミッチェルのタックルも軽く交わしてダイビングトライをあげます。このトライは大きなものでした。特に今年悩まされ続けたハイキックボールの処理から取られるのではなくてABが取ったトライというので更に勢いが付きました。

 その後まだ14人のABに対してワラビーズの攻撃は激しくなりますが、ABは激しく守り、そしてワラビーズのミスも誘う結果として得点を与えることなく前半を終えます。

 この日のゲームを見た人は気づいたと思いますが、ウェリントンのグランドに設置された電光広告には何度も日本語での広告が流されて、東京で行われるこの対戦、そしてニュージーランドラグビーに対する宣伝がこの後も日本には特に力を入れて行われることがよく分かったと思います。

 後半はいつものように更にABがスピードを上げて攻め込みますが、この日は後半からボールを持ち続けるためフォワードのピックアンドゴーも良く見られました。そして後半もABのバックス陣は素晴らしい動きを見せゴールラインを脅かします。ワラビーズも踏ん張ってトライを許さない。けれどワラビーズの攻撃はどんどん封じ込められていきました。

 45分にカーターのキックで3点を加え19-6と点差をつけた後もABはボールを保持するように攻め込み、そしてボールを奪い返されワラビーズが攻め込んで来ても硬く守って壁をブレイクさせません。後半も
ブレイクダウンではマッコウを筆頭にボールを奪い、フォワードが相手の攻撃をシャットアウトします。

 68分にやっとワラビーズもゴールライン手前2mまで、そしてすぐ後も1m前まで攻め込んできましたが、がっしりとABデフェンスは守ってボールを奪い返します。そしてサイドラインに蹴り出して逃げた後もワラビーズのラインアウトボールを2回連続でABはボールを奪います。これをやったのは両方とも後半途中トム・ドネリーと交代したジェイソン・イートンで、今年散々南アフリカ戦で冴えなかったこのラインアウト
でもまたやられ続けてきたことをこのワラビーズ戦で逆にイートンがやり返してくれました。

 後半はなぜかワラビーズもこのラインアウトではABにやられ放題になってしまい、ワラビーズの猛攻をとめた後、駄目押しのトライを取るきっかけになったのもこのラインアウトからでした。72分にラインアウト
からABは一旦ピックアンドゴーでワラビーズ陣地に押し入って行き、11回それを続けた後にやっとバックスにボールが回されるとこれを待ち構えていたようにノヌがスパーク。デフェンスラインをパワフルに突き破り最後は3人のタックラーが襲い掛かるのももろともせず一人でトライを取ってしまいました。

 これで勝負は決まったも同然でしたが、残り時間4分間もABの攻撃の手は緩めらません。一旦はラインアウト後ドライブでインゴールになだれ込みますがタッチダウンまでには到らず、ABボールのスクラムに戻されます。そのゴール前のスクラムからフォワードがデフェンスラインに突っ込むことを何度かしてからバックスにボールが出されるとこの日の有終の美を飾るようにとてもきれいにそして早くカーターからトエアバ、ムレアイーナとボールは渡り、最後のジョー・ロコソコにボールが渡ったときには彼の前にはデフェンスはいない状態になり、ロコソコはサイドライン際を駆け抜け、ゴールライン2mほど前からタックルに来たアシュレークーパーを交わすことも併せて大きく跳び、トライを見せ付けました。そしてこの後のコンバージョンキックをカーターが見事に決めたところで終了のサイレンも鳴り響く終わり方となりました。

 このようなゲームが東京でも見られるかもしれません。東京戦を期待していてください。

 オールブラックス 33-6 ワラビーズ (前半16-6)

0 件のコメント: