オールブラックスは今年最後に最高のゲームを見せつけ、またもやトライを許さないゲームでフランスを粉砕してくれました。
このゲームではお互いランニングラグビーを目指し、それがまたオールブッラックスの術中にはまったような感じで、今年のテストマッチではトライ数がとても少なかったのを最後のゲームで5トライと量産してくれオールブラックスらしいゲームを存分に楽しめたゲームでした。
この日キャプテンのリチャード・マッコウはIRBから06年に続き2度目の年間最優秀選手に選ばれることも決まってチーム全体にとっても満足いく結果だったと思います。
6万5千の観衆で埋まったスタジアムも最初はフランスの勢いある攻守の姿から盛り上がりを見せましたが、前半途中からはオールブラックスの強さに魅了されるようになって行き、後半半ばからは静かなスタンドに変わっていきました。
この日オールブラックスは今年初めてアウェイ用の真っ白のジャージ+黒のトランクスで登場。(一般的には評判よくないみたい)これが始めは目に馴染みが無いので少し迫力に欠けるように思え、ゲーム始まるとフランスの方が迫力ある出だしを見せます。
南アフリカ戦で見せたようにこの日もフランスはスクラムになると序盤はフロントローが強さを見せ付けます。70kgの体重差も覆して最初のスクラムからABスクラムを回してペナルティーを取って3点をフランスが先行します。
そしてお互い強いラインデフェンスで守り合いが見られましたが、7分にこの日最初のトライがシティバツから出ます。ラインアウトから始まるアタックでノヌがブレイクして仏ゴールライン手前5mまで迫ったところでのラックから出されたボールをカーターが大きくタイミングドンピシャでシティバツにパスを送ると二人のフランスデフェンスのマークが少しずれて、それを見逃さずシティバツがラインを抜けてインゴールに走りこみトライを取ります。
その後もお互いボールを持ったら自陣深くからでもボールを持って走るランニングラグビーを見せつけキックボールは少ないゲームとなります。またお互いブレイクダウンからの球出しが早いのでとても早い展開が続けられます。またお互いパスミスやハンドリングエラーも少なくテストマッチらしい内容にどんどんなって行きます。その中でいつでもどこでもマッコウの姿は出てくる。時々反応が早すぎてペナルティーを取られることもありますが、アタックでもデフェンスでも大事なところには必ずと言って良いほどマッコウがどこかでボールに絡んでいました。
オールブラックスがトライを取った後もフランスの勢いはサポーターからの声援にも押されて止まらずセンターラインを挟んで何度かのせめぎ合いの後仏12;YannickJauzionがラインブレイクしてセンターラインから22m内まで走りこみABゴールライン手前までなだれ込みます。これがこの日フランス最大のトライチャンスだったかもしれませんが、22m内に入ってのABのデフェンスは今日も硬く、フランスは最後はドロップゴールを狙いますが、ハーフバックからのパスがお粗末なものになり10;FrancoisTrinh-Ducのノックオンでチャンスを逃します。
しかしフランスはスクラムで圧倒して2本連続でペナルティーから得点を加算して9-7とします。このあたりまではフランスにも勝利のチャンスがあったように思えます。しかしABはこの日デフェンスではなくアタックで相手の勢いを削いでいきます。
20分にフランスがそれまで見せていたようにパスを両サイドに細かく回しながら繋いで繋いで前進していたのですが、AB陣地10mに入ったところでABのラインデフェンスを崩せないとあきらめたのかこの日初めてと思われるライン裏にボールを転がします。このキックボールは全く意味のないものになって逆にABのカウンターアタックを招く結果になります。
自陣22mライン内右端でボールをキャッチしたジミー・コーワンはすぐさま中央よりのムレアイーナにパス。ムレアイーナはこれまたキックボールをあげることなく更に横に大きくパスをコンラッド・スミスに出します。スミスも自陣10mラインまで駆け上がったところで左サイドラインよりのシティバツにパスを繋ぐ。シティバツはサイドライン際を快足で飛ばし、一人相手13番を置き去りにした後フランス陣地10mラインを超えたところで内側を駆け上ってきていたムレアイーナにパスを繋ぐ。ムレアイーナにパスが繋がった時点でデフェンスは前にいない状態になって爽快トライ2本目が生まれます。この後のコンバージョンはカーターが外しますが、9-12と再び逆転。
この日カーターはプレスキックは何度か外しましたが、ランニングラグビーの展開になって彼の本領が発揮できる場面到来という感じでパスやキックプレイ、そして自ら走りこむランニングプレイは素晴らしいものが何度も見られました。
27分にペナルティーによる3点を追加して9-15とした後再びABの攻撃の段階でカーターが絶妙な小キックを相手デフェンス裏に上げて、ノヌがこれに突っ込んで行き一旦22mライン内でラックができます。このラックから出たボールをこれまたカーターが見事にパスでキエラン・リードにつなぎがリードが縦に突進。そしてゴールライン手前でタックルを受ける際に後ろから続くトム・ドネリーにパスを出しますが、アーリータックル気味のタックルを受けてドネリーはトライが出来ずノックオンを取られます。
トライチャンスを逃したかに思えましたが、このゴールライン手前5mのフランススクラムが今日のゲームを決めた場面になりました。それまでの展開では断然フランススクラムがボールをキープして安全圏に蹴り出すものと思わたのがABフォワードがこの場面で奮起一発、フランススクラムを粉砕します。スクラムハーフからボールが入れられるとABフォワードが押し返します。そしてゴールライン上まで押し返され回されたようになったところにボールが足元にこぼれて出てきたのをジェロモ・カイノが両足で挟み込むような感じでインゴールでタッチダウン。これで9-22とリードを広げます。
これでフランスの勢いもサポーターの歓声もそれまでよりどんどん弱くなっていく感じなります。フランスはキックオフの後AB陣22mラインまで繋いで繋いで攻め込みますが、ブレイクポイントを見出せず最後の手段とばかりに10番がドロップゴールを見せます。これは見事に決まって12-22としますが、これがこの日フランスが取った最後の得点となりました。
もちろんフランスはあきらめた訳ではなく後半入ってもフランスは固くて強い守りで逆襲のチャンスを伺っていたのですが、45分にセンターライン上でのフランスラインアウトでのセットプレイからカーターの珍しいタックルミスも重なってラインブレイクを許し一気にABゴールライン手前5mのところまで詰め寄られます。フランスはスクラムでペナルティーを取りますが、ここでトライを狙わず3点を取りにきます。この右サイドラインから5m入ったところからのペンルティーキックを9;JulienDupuyは大きく外し、サポーターからも大きなため息が出ます。
その後52分にもペナルティーゴールのチャンスをそれまで無難に仕留めていたJulienDupuyが外してしまい、チームの士気をことごとく消してしまう結果となって彼はその後直ぐベンチに下げられます。
それでもフランスはゲームプランを大きく変えることなくボールを繋ぎながら走り回るアタックを続けます。これに対してオールブラックスのデフェンスも相手の動きのパターンにどんどん絡むことが出来るようになっていきます。特に圧巻が55分過ぎにフランスの自陣内で受けたキックボールからカウンター狙いで攻めあがろうとするところにコンラッド・スミスから始まってシティバツが、そしてキエラン・リードが見事なスポットタックルを見せてフランスの攻撃をどんどん押し下げていき、22mライン内まで戻します。
ABは守ってボールを奪い攻撃に転じると波状攻撃に出て、一旦22mライン手前で止められるとカーターが珍しくドロップゴールを狙います。このキックボールはゴールポストのクロスバーに当たり跳ね返ったボールから再びカウンター攻撃を狙うフランスがセンターラインまでボールを蹴り出します。このボールはABの逆カウンターを受けることになりWingのコーリー・ジェーンによる単独トライが生まれます。
彼は自陣サイドライン寄りでボールを受け取るとすぐさまサイドライン際を駆け上がります。ラインデフェンスのサイドライン際を守るデフェンスタックルにはハンズオフをかましながら駆け抜け、フルバックが現れる前にゴールポスト付近に誰もいないことを見定めると、そのゴールポスト向けキック&チャイス。そしてそのキックボールに追いついたところがすでにインゴールとなって見事な7Sスタイルのトライを見せ付けました。これで12-32となります。
この後もABは全員参加の押し上げ、そして相手が速い展開を求めるなら更に上を行くようにABは止まることなくボールを動かし続けてラックから抜けだしてコンラッド・スミスが駄目押しのトライを取り12-39とします。
こうなれば先発した選手もお役目終了となり残り10分からはベンチに入っていたもの全てがピッチに出されるようになって、それでもフランスに得点を与えることなく攻めながらノーサイドを迎えることが出来ました。
このように今季最後のテストマッチで今季初めて3トライ以上が取れることが出来たオールブラックスは良い終わり方が出来たようです。
オールブラックス 39-12 フランス (前半22-12)
2009年11月29日日曜日
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