オールブラックスは昨年の3連敗のリベンジを見事に予想以上の強さを見せつけやり遂げました。先週と変わらない見事なアタックでボーナスポイントつきの4トライも世界王者の南アフリカから取って、今年のトライネーションンカップも取り戻せそうな感じの良いスタートを切りました。
今回のゲームもオールブラックスは全員が素晴らしい働きを見せつけ、どの局面もすばやく正しい判断で攻守にそのレベルの高さを見せ付けてくれました。特に今回のゲームでは先週とはまた違った者達の活躍が見られたのも良い収穫でした。
バックスでは今回はムレアイーナとダニエル・カーターが中心となってパスにランに攻撃の基点となり、今回先発で選ばれたピリ・ウィープ、レネ・レンジャーがそれに併せるようにもてる力量を自由に発揮するような感じに見られました。
また、フォワードではキャプテンのリチャード・マッコウとNo.8のキエラン・リードがブレイクダウン、デフェンスタックル、そして攻撃参加にどこでも顔を出す働きで特に攻め込まれてこの局面で得点を与えると辛くなるようなときに必ずボールに絡んでくるその存在は素晴らしすぎるものでした。
南アフリカは先週のゲームに比べるとさすがによくなった動きでしたが、今回もゲーム開始から3分でロックのダニー・ロッソウをイエローカードで失いその間に2トライ取られたことが大きく後に影響しました。
また、活躍が期待されたNo.8のピエアー・スピースがこの2ゲームとも不発に終わって、ブライアン・ハバナもこのバックスの陣形と連携がしっくり行って無いようなミスがよく見られて南アフリカのアタックにかなり暗い影を落としたように思われました。
前半は南アフリカもハイキックボールを使っての攻撃が主体でしたが、それが上手く連動してこないところとラックでの新ルール適用の影響でどんどん繋いでラック&ダッシュ的な連続攻撃を仕掛けていったほうが得点に繋がることが後半50分過ぎから証明されだしましたが、時すでに遅い感じでいろいろとイライラが募るようなゲーム内容だったと思います。
南アフリカはこの状態が続くとは思われないので来週のオーストラリアとのアウェイでの対戦も楽しみですが、8月の下旬になって地元のゲームを続けることになる際、オールブラックスを向かえるゲーム内容が今から楽しみになりました。
ゲーム自体、会場となったウェリントンはこの夜冬の雨、風吹くとても寒い状況、滑りやすい状況で始まりましたが、オールブラックスはこの寒さを吹き飛ばすハカに2週連続となるカパ・オ・パンガを選んできました。
オールブラックスのキックオフから始まったゲームは直ぐにキックボールを上げ合ってお互いのミスを誘う、出だしを伺う展開。その中レナ・レンジャーが自陣のラックでボールを離さないペナルティーを犯し、早速南アフリカに3点先行されると思われたときに主審の笛が吹かれてプレイが中断しているときにラック内のリチャード・マッコウとダニー・ロッソウが小競り合いになり、マッコウに蹴りを入れたロッソウが一発イエロー・カード。この主審のジャッジは少しきつすぎるものに思われましたが南アフリカは今週もゲーム序盤に14人になります。
この後すかさず攻め込んだオールブラックスは一旦南アフリカ陣地22m上でペナルティーを得ますが、風のきついこの夜ダニエル・カーターのキックはゴールポストか外れていきます。
しかしこの後からオールブラックスは怒涛のアタックが見られ2トライをあっという間に取ってしまいます。まず22mライン内からのモーネン・ステインの高く上げたドロップオフボールをキエラン・リードがダッシュしてくるWingのプレッシャーを交わしながら上手くキャッチするとすかさずコーリー・ジェーンにパス。そしてマッコウが左サイドサイン際を縦になだれ込んで直ぐに22mラインを超える。一旦ラックになった後はすばやくピリ・ウィープがボールをバックに流す。ボールはあっという間に左サイドにバックスのパスで繋がれ、一回ムレアイーナがデフェンスラインに突っ込んでからゴールライン手前まで押し寄せた後、ラックから出たボールをマアア・ノヌが強烈にデフェンスに突っ込みトライをもぎ取ります。
この後のコンバージョンを再びカーターが外しますが5-0と先行。そして南アフリカのキックオフからゲーム再開すると畳み掛けるようなオールブラックスの攻撃が始まります。自陣22m内まで蹴られたボールを相手陣地に蹴り出すことなくすばやいボール回しとラック&ダッシュで自陣から敵陣へと押し寄せます。ボールがサイドサインに出されてもクイックスローインで流れを止めない。一旦ボールはステインのキックで自陣まで戻され南アフリカラインアウトになりますが、オールブラックスの流れは止まらない。南アフリカがAB陣地22mライン上でアタックを仕掛けてもプレッシャーのきついデフェンスと集散の速さからラックではABほど人数がそろわない。そしてそのラックからこぼれたボールを22mライン上で拾ったピリー・ウィープがぽっかり明いた相手のアタックラインをすり抜け南アフリカ陣地に駆け込む。10mラインまで来てパス先を探していると後ろからサポートに来たムレアイーナにボールが渡り、ムレアイーナはゴールラインまでまっしぐらの快走でトライをあげます。このコンバージョンをまたもやカーターは外しますが、相手が14人の間に10-0とします。
この後南アフリカも落ち着きを取り戻し、激しい攻防が30分続く中ダニエル・カーターは4回目の試みの末やっと1本ペナルティーキックを決め、そして南アフリカはラインアウトの上手いセットプレイからダニー・ロッソウが面目駆除のトライをゴールポスト際に決めて前半はオールブラックスの3点リードだけで折り返します。
後半入ってすぐ南アフリカは猛攻を見せ、またもやラインアウトからABゴールラインを脅かします。ここでロッソウがまたゴールラインに突っ込みますがマッコウの上手いタックルで止められます。この際マッコウはラック状態でペナルティーを取られ3点を南アフリカに与えます。これで13-10の3点差になりますが、オールブラックスはすぐさま反撃に出ます。
この日カーターのプレスキックは不発に終わりましたが、他の攻撃的キックはとても有効的に働き、まるで南アフリカがそうしたいことをそのまま見せ付けているような多彩なキックを見せます。このカーターのキックボールが基点となってこの日オールブラックスデビューとなったレネ・レンジャーが左隅にトライを46分に取ります。
引き離されたくない南アフリカも果敢に反撃のアタックを見せますが、小さなミスでそのチャンスを失います。そして50分に南アフリカ陣地10mほど入ったところでペナルティーを犯しオールブラックスにキックのチャンスを与えるとオールブラックスはキッカーをカーターからこの球場をホームグランドにするピリ・ウィープに代えます。ウィープはこの期待に見事に答え3点加えて21-10とします。
それでも時間はまだまだ50分過ぎ。南アフリカはこの辺りから控えの選手も出していき、戦術も変えてきます。オールブラックスが見せ付けるように、また今年スーパー14でストーマーズなどが成功した自陣深くからでもボールを回してどんどん攻めあがる方法を取っていきます。10回を越える連続攻撃、ラック&ダッシュをどんどん使ってオールブラックスデフェンスラインを押し下げていきます。これに対してABデフェンスも硬い、強烈なタックルなどで防ぎます。
その中でも最後の止めをさすのがマッコウ、この人でした。58分にゴールライン手前3mまで詰め寄られた際ラックでボールを殺した行為でペナルティーを取られ、主審からは最終勧告として次に同じ行為を犯せばその者にイエローカードが出されることを告げられます。このペナルティーに対して南アフリカは先週のゲームとは違い3点を取りに行かずラインアウトからのトライ狙いに出ます。このゴールライン手前5m、南アフリカラインアウトからのアタックを食い止めたがマッコウの的確なタックルで、その後もバックスにボールが回された後攻め込んでくる南アフリカのアタックをラックで食い止め、逆に相手にボールを離さなかったペナルティーを取ったのもマッコウでした。
そしてオールブラックスの首脳陣もこの場面で勝負に出ます。まだ南アフリカの攻勢が続きそうなこの時間帯に、この日大活躍で、キッカーとしてもこの後の状況では重要になるかもしれないピリ・ウィープをジミー・コーワンに代え、他にフレッシュなサム・ホワイトロック、そしてウィングにレンジャーと代えイスラエル・ダグを投入します。
この3人が入り、それが見事に流れを引き戻し、そしてゲームに止めを刺します。まず自陣でのラインアウトを上手く手にしたオールブラックスはジミー・コーワンがボックスキックで敵陣にハイボールを上げます。これに突っ込んでいったのがダグで、彼は相手がボールをとる前に高く飛びボールを奪い、そのままボールはオールブラックスのアタックに繋げられあっという間にラック&ダッシュで南アフリカ22mラインまでやってきます。
そしてラックからバックスに出されたボールが再びダグに渡ると、ダグは一瞬南アフリカのデフェンスラインの前でパスかランか躊躇するようなフェイクを一つ入れてからペースを変えてラインに突っ込み、ライン突破.その後巧みに相手デフェンスを交わしながら単独でトライまでもって行ってしまいました。このトライは本当にすごいものでした。また4人のタックラーがダグが走り抜けた後バタバタと倒れていくのは誠に爽快の一言、ましてそのタックラーが強力タックルで知られるシャック・バーガー、ピエアー・スピース、そしてカーシュナーなどとなるとまた格別のものがありました。そしてこのトライを見定めた監督陣がみんなガッツポーズで、あたかもこのダグの投入が的中したことを最も喜んでいる姿も爽快でした。
この左隅に決められたトライの後のコンバージョンはカーターが見事に決め得点差は18となる28-10となり、ゲームが決まっようでした。ましてこのトライはこの日4つ目となりボーナスポイントまで加算される重要なトライとなりました。
その後は南アフリカは74分にシャック・バーガーが最後まであきらめないトライを一つ取りますが、さすがに時はすでに遅く、31-17でこの激しい両軍の2戦目は終わりとなりました。
オールブラックス 31-17 南アフリカ (前半13-7)
2010年7月18日日曜日
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