オールブラックスは今年のイングランドに対しては前半の2トライを取るのが精一杯で完封までは遠く及ばず後半は何とか逆襲を食い止めたようなゲームとなりました。前回のオーストラリア戦と良く似たゲームスタイルでした、メンバーをフレッシュに入れ替えて多少は心配がありましたが、何とか世界ランク1位の実力はイングランドに見せ付けられたと思います。
大まかに言えば前半35分まではオールブラックス、後半残り15分からはイングランドといったゲーム展開になりましたが、お互いボール所持を増やそうと自陣からボールを回しアドバンテージラインを押し上げるスタイルは先週のオーストラリア戦と同じ。両軍とも中央突破は許さない硬いデフェンスラインを引いて、そしてラックからの球出しへの反応もとても早くどうしてもバックスへボールを展開していく。そして最後はサイドラインに押し出されるか、途中で相手の強いデフェンスの押上げからパスミス、ノックオン、又はキックで相手陣地にボールを送り出す事を繰り返しました。
ゲーム開始当初はこのイングランドのプレイで少しでも良いプレイがあるとこの日8万人は入ったサポーターからすごい歓声が上がります。けれどこのイングランドのいいプレイは単独プレイで終わってしまって連続では見られず直ぐにボールがABに渡ることが前半は続きました。だから最初はイングランド優勢に聞こえるのだけど実際ゴールラインに攻め寄るのはABでした。
この日オールブラックスの攻撃で中心的存在になったのはマアア・ノヌとホセ・ギアーそしてムレアイーナでした。サニー・ビル・ウィリアムスにはあまりボールが回ってこず活躍するまでには至らない感じでデビュー戦は終わったようです。
ゲーム開始から3分内はABの全員攻撃が見られて早速ABは先制トライを取るかなと思われたのですが、最初の得点チャンスは8分に訪れます。左サイドライン際のラックでペナルティーを得てカーターがキックで狙いましたがカーターには珍しく蹴った瞬間に外れるのが分かるキックとなって先行は出来ません。カーターはこのキックだけ外した後はパーフェクトなキッカーに直ぐに戻りました。
ゲーム始まってからはしばらくイングランドの守りにサイドラインに追いやられてばかりいましたが、14分になってそのサイドライン際を駆け抜けてABのトライタイムが訪れます。しかも連続して2回。
最初はラインアウトから始まるセットプレイから。ABボールのラインアウトのボールをカーターが受けるとバックスに展開するのですが、デフェンスの押上が早いのでカーターは2人を飛ばして大きくサニー・ビル・ウィリアムスにパス。そしてSBWが縦にラインブレイクしてからすぐさま後ろに続くジェロモ・カイノにパス。このカイノがボールを持って突き進んでからこれまた2人飛ばす大きなパスでサイドライン際を駆け上がるホセ・ギアーにパス。これを受けたギアーは左隅コーナーに飛び込みますが、直前に相手ウィングにタックルを受けサイドラインに押し出されます。一瞬ギアーの下半身はサイドラインに押し出されたように見えましたが、ビデオ判定を見てみるとタックルに来たWINGの体が下になってギアーの両足は地面につく前に左隅インゴールにタッチダウンしていたと判定されてトライが認定されます。これに対してイングランドサポーターから大ブーイング。
カーターのサイドライン際からのキックが見事に決まって7-0となった後、イングランドのキックオフボールはイングランドのノックオンとなってAB陣地5m入ったところでのABスクラムとなります。
このスクラムからまたセットプレイだと思うけどカーターとノヌが上手く体を入れ替えるような流れる動きでブラインドサイドをつきあがりムレアイーナがボールを受けて更にイングランド陣地に駆け上がる。そしてサイドライン際のホセ・ギアーにパスが回るとタックルを受ける手前でギアーはキックでボールを前に転がす。これにABが流れ込みイングランドはキャリーバックで一旦はトライを防ぎますがゴールライン手前5mでABスクラムとなります。
ここからもセットプレイでABスクラムから一旦ホセ・ギアーがスクラム横を縦に突っ込んでからラックを作り、このラックからすぐさま出されたボールを受けたキエラン・リードとジェロモ・カイノ2人がタッグを組んでゴールラインに突っ込みトライを取ります。これで14-0。時間はまだ20分。この後もABのトライは見られると期待したのですが、実際はこれでABのトライは止まってしまいます。
イングランドも少しこの2トライで目覚めたのかABのミスを誘い出して得点してきます。まず24分にペナルティーから3点を返した後からこの日イングランドが唯一優勢になったスクラムでABの勢いに歯止めをかけてきました。スクラムをペナルティーを取るのですが、その対象となったのがABはトニー・ウッドコック。そしてイングランドに勢いをもたらせたのは3、DanColeでした。ウッドコックがここまでやられるのはあまり見たことがありません。この日は3回もペナルティーを取られることとなりました。
そしてABのバックスでこの日小さなミスを連発したのはジョー・ロコソコでした。この2人の不運からABのアタックは途切れてしまい、逆に前半最後はイングランドに攻め込まれて終わります。
後半入ってもABの攻撃はイングランドの強いデフェンスの前に途切れてボールを相手に渡してしまいます。けれどイングランドが得点するとカーターがしっかりとキックを決めてくれて得点差は常につけることが出来ました。ゲーム終了の15分前までは。。。
後半の最初の得点はイングランド。イングランドスクラムでこの日3つ目になるペナルティーをウッドコックが取られキックで3点上げ17-6となりますが、直後にはラックでイングランドからペナルティーを得て3点を直ぐに返します。
そして50分過ぎから両軍ベンチの選手を続々と出し始めますが、イングランドはフッカーをニュージーランド、ロトルア出身のDylanHartleyに代えます。ABはハーフバックをアンディー・エリスに代えます。
52分にイングランドラインアウトで代わったばかりのDylanHartleyのスローインが真っ直ぐ投げ入れられずABボールのスクラムになります。ここからサニー・ビル・ウィリアムス/ムレアイーナ/ノヌそしてジョー・ロコソコと上手くボールが繋がって縦にイングランド陣地深く突き進みましたがロコソコが右サイドラインに押し出される前にキックでボールを蹴ります。このボールは22mライン内の14.ChrisAshtonがダイレクトで受けてマーク。そしてすぐさま逆カウンターアタックが掛けられ、勢いのまま攻め込んできていたABバックス陣の間を突いてイングランドバックス陣がセンターラインまで駆け上がります。ここでボールを繋いだ(完全にオフサイドだったけど)BenFordenが真っ直ぐ前方にボールを切り出します。これが上手く転がってABゴールライン手前まで行く。これに対して何とかボールを止めることが出来ましたが、ラックになります。イングランドはこのラックからボールが出されるタイミングに併せてフッカーのDylanHartleyが一人ゴールラインに向かって走りこみます。ラックからのボールが出されるとその勢いのままラックの横にDylanHartleyはダイブしてトライを取ります。(この動きは完全にダブルムーブメントだったけど)ゴールライン上のABデフェンスに防がれたように見えましたがビデオ判定でトライが認定されます。
このトライのコンバージョンキックも決まり20-13となりますが、直後のキックオフ後直ぐにラックでイングランドはペナルティーを犯し23-13と10点差の状態が保たれます。けれど勢いはどんどんイングランドに傾いていきます。
60分過ぎから10分間はお互い攻撃にも小さなミスが続いてボールは両軍の間で忙しく入れ替わります。得点もお互いのペナルティーから3点を取り合い26-16になります。そして70分過ぎにラックでのペナルティーを2重に犯した為イエローカードとなったジェロモ・カイノがSin-Binに入るとイングランド側サポーターも勢いを取り戻してきます。
そしてイングランドはそのサポーターの歓声にも押されて攻め込んできます。何度も何度もアタックをしてはABのデフェンスの前にノックオンやパスミスで自陣に引き戻されたり、大きくそしてすばやく左右にボールを展開するけどゴールラインには到らなかったけど最後は左サイドに人数が余って12.ShontayneHapeが左隅に飛び込んでトライを取ったかに思えました。しかしHapeはボールを前に差し出しながら左隅にボールをダウンさせようとするところにジョー・ロコソコに代わっていたイサイア・トエアバが横から強力なタックルをかましてHapeの腕から下の体はサイドラインに押し出されますが両手はそのままインゴールに向かっていました。ビデオ判定でリプレイを見てみるとHapeがタッチダウンする直前にボールは手元から離れしっかりとタッチダウンされていないことが分かり、むなしくもノートライの判定となります。これに対しては当然のごとくサポーターからは大ブーイング。本当にこのノートライはビデオリプレイで見ても微妙なものでした。テストマッチで無かったらその勢いで主審がトライを認定しても疑われないものだったでしょう。
この後もイングランドは攻め続けましたが、残り5分間をしっかりと守り通したオールブラックスが26-16で逃げ切りました。
オールブラックス 26-16 イングランド (前半 17-3)
(イングランドvsオールブラックス ゲームハイライト)
2010年11月7日日曜日
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