今年最高のゲームとなるにふさわしいベストの状態のグランドと天気、そして5万2千人入って完売となって最高の雰囲気のもと準備期間十分の両軍の戦いがブリスベンのサンコープスタジアムで行われました。
この日ゲーム前にはラグビーでは珍しくサッカーのゲームのように両軍一緒にグランドに出てきました。そしてオールブラックスは敵地で珍しく燃えるカパ・オ・パンガのハカを行い、その後例によってちょっとこの戦いの前には気の抜けるウォーティングマチルダの大合唱がワラビーズサポータによって歌われたためそのゲーム開始のホイッスルもそれが終わるまで待たされたようになりましたが、しっかりとワラビーズ側からキックオフでゲームは始まりました。
ワラビーズは前半ボールを保持しながら前進することを目指すのがプランのように最初から見られます。センターラインからキックボールは使わずピックアンドゴーで前進。2度のラックでのオールブラックスによるハンドリング行為注意からすぐさま22mラインまでやってきますが、ジョージ・スミスによるゴロで転がしたキックボールはムレアイーナに簡単に押さえられサイドラインに蹴り出されます。そしてそのラインアウトでABの危険行為がペナルティーとして取られAB陣地10m入った右側からワラビーズは先制のチャンスを得ます。しかしギットウのキックはわずかに短い。
この後やっと5分にABはAUS陣地に入り込みますが、10mライン、22mラインのところまでやってきたところで組まれたスクラムではAUSがこの日ロビー・ディーン監督から修正されたような感じでABがコントロールすることは出来ず崩れるスクラムに対して主審から何度か注意が与えられ最後にはABがペナルティーを取られボールを奪われました。
しかしブレイクダウンのところではABがこの日も強い。AUS側も強いのですが、AUS陣地内のブレイクでAUS側がミスり、2度目の時にAB側にフリーキックが与えられるとすぐさまジミーコーワンがAUS側が10m下がらないうちにゴールラインに向けボールを獲って走りこみます。後3mほどのところで止められますが、すぐに右側にパスを出したところでABバックス陣がAUSデフェンス陣より人数が多いこと丸分かり状態になって素早くパスが上手くムレアイーナまで回されるとムレアイーナは楽々ダイビングトライを右端に決めます。
この日最終的に勝利の決め手になったのはやはりカーターによるキックがしっかり決まっていたからだと思われますが、このトライの後のコンバージョンも右端からしっかり決まり0-7AB先行になります。
AUSはこの後も主にボールを保持しながら攻めあがってきますが、19分前後には一旦センターラインをはさんでキックプレイが両軍よって行われ、カーターが何度目かに送ったキックボールを基点にAUSは自陣22mラインから走りこんできます。センターラインでブレイクされたところから素早くAUSハーフバックがバックスに展開。この際左に展開する人数はAUSの方が多いように見られ実際No.8のワイクリフ・パルが右側にボールをもって走りこむときにはその後ろから更にサイドライン寄りにフルバックとWingが回り込みこの二人が完全にABデフェンスラインより余った状態になりました。しかしパルにはそれが見えなかったのか10mラインを超えた後もデフェンスラインに突っ込んで行ったあげくカーターによるタックルによってボールを前にこぼしてしまいます。この前にパスを出していれば恐らくゴールラインまでボールはWingかフルバックによって運ばれていたことでしょう。ビデオで再生された場面ではサイドライン際のボールボーイが頭を抱える姿がそれを象徴していました。
しかしこのノックオンによるABスクラムボールをAUSはスクラムで奪いそして攻め込み、22mライン手前中央のところのブレイクダウンでリチャード・マッコウのオフサイドを誘ってギットウがこのペンルティーキックを難なく決めてやっとAUSは3点上げます。
この後AUSはラインアウトなどのセットプレイを支配しながらボールを自陣から保持しながら攻め込みます。しかしABの強力デフェンスは健在。AUSが得点した22分以降前半残りはほとんどAUSが自陣から攻め込みABが守ってキックでAUS陣地にボールを返すことが繰り返される感じ。特に30分までには10回、8回と2度にわたってブレイクダウンを繰り返しながらもAB陣地22m内まで攻め込みブレイクダウンからはゆっくりとボールを出してデフェンスの穴を探ってきますが、ジェロモ・カイノやロドニー・ソイアロなどの強力タックルを受けボールを奪われゴールラインまでは達することが出来ません。
これによりABはボール保持率は前半3割ほど、また前半はブレイクダウンでABのほうがハンドリング注意を受けたり、ノックオン、オフサイドと言ったものが多くなりました。
AUSは前半終了近くになってやっとそれまで辛抱しながら攻め込んでいた結果が出ます。39分にAUS陣地内でABが攻め込むところでマアア・ノムがノックオンしてAUSボールとなったスクラムからAUSはマット・ギットウやライアン・クロスの細かいステップを踏むランでAB陣地内に入り込み、22mライン手前まで来たとき左サイドからギットウが右サイドに向け大きくキックボールを上げます。これを待ち受けていたPeterHynesがボールをキャッチすると同時にシティバツがタックルをかましますが、Hynesはタックルを受けながらも上手くボールを後ろから入り込んで来るアシュレークーパーにパス。ボールを受けたアシュレークーパーにもすぐさまコンラッド・スミスとムレアイーナがデフェンスに掛かってきますが、アシュレークーパーは上手くこの二人のタックルを交わしてダイビングトライを右端に決めます。そしてこのコンバージョンもギットウがきれいに決めたところでAUSサポーターにとっては気持ちの晴れる爽快な前半終了となります。
この時点ではこのゲームどうなることか全然分からない状態だったと思います。しかしABのキックオフから始まった後半始めはまだAUSの勢いが残っていました。特にこの日も素晴らしい活躍が見られたマット・ギットウのプレイがトライに繋がります。
AB陣地22mライン手前の右側AUSラインアウトから始まってトライまでにマット・ギットウがボールに4回絡みます。ラインアウトのボールは一旦右側から左サイドまで渡されますが、ブレイクから中央にパスがボールが戻されたところでギットウが上手くラインブレイクして後ろからサポートに来たRichardBrownにパス。RichardBrownは勢いに乗ってゴールポスト下まで突っ込みますが、後わずかなところで止められます。しかしこのボールを素早く出して、ボールがギットウに回ると左サイドに走りこんできている4;JamesHorwillに大きく早いパスを出します。このパスを受けたJamesHorwillは勢いにも乗り止めに入るカーター、シティバツを難なくなぎ倒しながらトライを上げます。そしてこのコンバージョンもギットウがきれいに右端から決め17-7となります。これはヤバイ!と言った感じになります。
しかしABはこの雰囲気をすぐに覆します。ABのキックオフ後は前半AUSが見せたようにABが自陣からボールを保持しながら攻め込んでいきます。AUS陣地右側10mまで入ったところでのブレイクダウンからジミー・コーワンが素早く大きなパスを左サイドに出します。このパスは上手く繋がらなかったのですが、こぼれたボールを拾ったコンラッド・スミスが真っ直ぐデフェンスラインを突破のラン。22mライン手前まで来たところでサイドサイン際に走りこんできている者にパスを出します。この者がなんとプロップのトニー・ウッドコック。彼がボールを獲るとその前はゴールラインまでがら空き状態。思わず走れ、走ってくれぇーと叫んでしまいました。彼に対してジョージ・スミスと横からフルバックが襲ってきましたがウッドコックはそれら捕らえられることなく我々の願いと共にインゴールへと飛び込んでくれました。
そしてこの後のコンバージョンもカーターが簡単に見えるような蹴りで決めてくれ14-17とします。そしてここから首脳陣は前半の反省も含めてベンチからの的確な選手交代を行ってきます。今日は前半スクラムでしてやられていたABはグレッグ・サマーベル、アンドリュー・ホーをベンチに下げ、前半途中から強烈なタックルを受け負傷気味だったマアア・ノムに代えステファン・ドナルドを入れます。これでモートロックとのマッチアップにドナルドはなりましたが、相手にとっても彼からのキックプレイなどが不安材料になったと思われます。まして彼のデフェンスもこの後しっかりとしたもので、ノムに劣らない強力ラインブレイクも見られました。
3点差に迫られたAUSはキックオフ後も前半見せたようにボールを細かく繋ぎながら攻め込んできます。ABゴールライン手前5m内まで10回のブレイクを繋ぎながらジワジワと時間を掛けて攻め込んでくるとそこからピックアンドゴーでゴールラインを割ろうとしますが、ABのデフェンスは耐えます。この時点での得点は恐らくゲームを決めたでしょう。観客からも両軍への声援が球場にこだましていました。6回続いたPick&Goも最後はABにボールを奪われます。
そしてABはジミー・コーワンに代えピリ・ウィープを出してきます。このウィープも活躍が見られたのですが、この時間帯は両軍による激しいボールの奪い合いが続き、球場も騒然とした雰囲気になっていきます。しかしこの頃からABはブレイクダウンでボールを奪うことが多くなっていきます。AUSのデフェンスも強力なのですが、次第にABのほうが攻め立てる時間が多くなっていきます。
そんなセンターラインを挟んでの激しい攻防が10分ほど続いた後の61分にブレイクダウンからのボールを受けたロドニー・ソイアロが少し甘くなったデフェンスラインをすり抜け22m内まで入り込みます。あまりに素早くすり抜けたものだから彼に対するサポートも遅れ、彼が22m内で捕まって出来たラックからのボールもすぐには出せなかったのですが、ラックからボールを出したシティベニ・シティバツのステップがすごくてライアン・クロスなどのデフェンスを簡単にすり抜けゴールラインに迫ります。そしてタックルを受け倒されながらも後ろからサポートに来たウィープにパスが繋がるとウィープにはタックルするものもいなくなってウィープは彼にしては珍しく歓喜のトライを上げます。それもそのはずこの後のコンバージョンをカ-ターが決めたことにより21-17と逆転に成功します。
こうなると次の得点がとても大事なものになりますが、勝利の行方はどうなっていくものか全く気の抜けないものになって行き歓声もどんどんヒートアップしていきました。選手のほうがヒートアップしたのはAUS側でこの後すぐにAUSは攻め込みますが、小さなミスを続け逆にABに攻め込まれます。
65分に左AUSサイド中央ぐらいまで入ったところからのラインアウトから素晴らしいセットプレイでピリ・ウィープがボールを受けた後そのラインアウトに並ぶ者たちの中をすり抜け22m内まで入る。そしてサイドライン際を走りこんできてるケビン・メアラムにパスを出しますが、メアラムはすぐに止められる。ここで素早く中央側に向けパスを受けたソイアロが走りこんでゴールライン手前3mほどまで来た後、またウィープが素早くボールを更に中央よりに走りこむステファン・ドナルドにパス。ドナルドもすぐに止められますが、今度もウィープがすぐに右側に展開する今度はカーターにパス。どんどんボールは右へと流されていくのですが、このカーターがボールを獲ると彼は更に右側に2人余るバックスに向けパスを出すそぶりを見せたまま真っ直ぐとゴールラインに向け突っ込みます。この際ライアン・クロスが彼の前にいたのですが、カーターに対するそのタックルはとても軽いものでカーターはそのクロスを跳ね除け、その後掛かってきたアシュレークーパーのタックルも交わしてゴールポスト下まで回りこんでトライを決めます。もうベンチも観客も大騒ぎ、大喜びのトライとなります。もちろんコンバージョン決まり28-17の11点差となります。
これで勝利が確信持てたかというとそんなことは無くやはりAUSの反撃が期待されました。しかし時間は残り10分を切ってAUSもトライ狙いで来ます。これに対してよりデフェンスを強めるAB。更にここに来てAUSのブレイクダウンに対しての反応がより激しくさせていきます。またデフェンスのプレッシャーも上がってきました。
そこで両軍の攻防がより激しくなるのですが、74分からAUSは自陣22m内からボールを繋いで繋いでAB陣地に入り、何度かのブレイクの後AB22m内までやって来ます。そして後ゴールラインまでもう少しと言うところでギットウからのパスを受け損なってノックオン。ABボールのスクラムとなるのですが、ここで今日はAUSのスクラムがしっかりしていたことが分かります。このスクラムでAUSはABスクラムを押しまわしてボールを奪ってしまいます。
そしてこのAUSスクラムからのセットプレイもすごい。特にデフェンスで失敗を重ねたライアン・クロスがボールを受けて突っ込んでくると彼はマッコウ、ソイアロのタックルを交わし、ゴールライン上では3人のデフェンスに絡まれながらもボールを離さず、上手く体を倒せこましてトライを取ります。このコンバージョンも決まり4点差の28-24となり、時間は残り2分。AUSは選手も観客も大逆転勝利を信じて最後の攻撃にかかります。
カーターからのキックオフボールはAUS陣地深くまで送られたので、ここからボールを回してくると思ったのがギットウは22m内からハイパントを上げてカウンターアタックを狙いましたが、その策は外れあっさりボールはABに渡り、ABは敵陣22m前で攻撃にかかります。これに対して必死のAUSの守り。そして何とかボールを奪いに掛かってくる。歓声は悲鳴見たいなものも混じって聞こえてきます。そしてそして何とかボールをAUSがラックで奪ったときに80分のサイレンが鳴り響きました。
だからここからAUSはボールを回しながらAB陣地へと攻め込んできます。何度もブレイクがありながらも何とか繋いでAB陣地10mラインも超える。そこで一回ABのペナルティーがあったのですが、キックで3点取っても勝てないからすぐにボールを回して前進あるのみ。しかしやっと22mラインまで達したときに今度はしっかりとABがブレイクダウンでボールを奪い取ります。時間は82分になりそうでしたが、ピリー・ウィープがしっかりサイドライン外にボールを蹴りだしこの激しいゲームは終わりを告げました。
イヤー最後の方はもう見ているほうが疲れるような内容でした。素晴らしいゲームだったと思います。AUSプレイヤーはやはりとても悔しい表情を終了時点にしていましたので次に行われる香港でのゲームにはワラビーズの逆襲がきっとあると思います。
2008年9月14日日曜日
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