2008年11月23日日曜日

11/23 ウェールズvsオールブラックスの観戦記



 やはりこの対戦は燃えました。しかしオールブラックスはこれに照準を合わせていたように世界一の強さを見せ付け、後半はまたさらに進化するかのような攻撃スタイルを見せてウェールズの燃える思いを打ち下しました。

 またもやミレニアムスタジアムは7万4千という大観衆の満員御礼になってレッドドラゴンをサポートする大歓声が響き渡りました。このゲームではやっぱりアイルランドでの対戦のようなペナルティーキックの際に不気味な静寂になることは無く、いつものブーイング、歓声が上げられ逆に落ち着いて両軍のキッカーの成果を楽しめました。

 観衆もすごければこの日の両軍の選手も気合入っていました。いつものハカがゲーム前に披露されましたが、この日は攻撃的なにおい十分のKapa o Pangoをやり終えた後もセンターラインを挟んでウェールズ側は一列に並んだまま引き下がらずABをにらみ倒します。ABもそれに真っ向から立ち向かいにらみ合う。誰もがウォーと歓声を上げたくなる瞬間。主審が間に入ってゲーム開始を促しますが両軍とも先に動き出すことをこばみバチバチと火花が飛び交ってこのまま永遠に続くかとも思われました。

 この勢いが両軍に残ってるかのようにウェールズはキックオフ後ボールを動かし続け攻め込みます。そして1分間続く攻撃の末マアア・ノムがハイタックルでペナルティーを取られウェールズ先行の3点を記録します。

 ABの攻撃は硬くて早いウェ-ルズデフェンスに阻まれペナルティーでボールを奪われ自陣に引き戻されます。勢いに乗ってウェールズは猛烈アタックを仕掛けますが、ウェールズのほうもABのデフェンスの最終的な壁を崩すことが出来ずノックオンやペナルティーで追加点のチャンスを逃します。

 12分にウェールズの10:ステファン・ジョーンズ、そして16分にABダニエル・カーターによるペナルティーキックでお互い3点とって6-3となった後ABは攻撃のテンポを速めます。

 ウェールズの15;LeeByrneがハイパントを上げて猛烈な勢いでカウンターアタックを掛けてくるところを見て自身にも火が点いたかのようにこのボールを取ったシティバツが逆カウンターを自陣22m内から猛ダッシュで仕掛けます。これに連鎖してロドニー・ソイアロー、ジェロモ・カイノが縦にガンガン強くてスピードの乗った攻めを展開。ウェルズ陣地22mラインに達した際たまらずペナルティーをウェールズが
犯します。

 左端からのキックでしたが、カーターの蹴ったボールは左側のポールに当たってウェールズはここから逆襲。ステファン・ジョーンズのキックから始まり、小さな巨人シェイン・ウィリアムスのブレイク、そしてまたもやステファン・ジョーンズの上手いステップなどでABゴールラインに押し寄せますがブレイクダウンでABがペナルティーを取られるとすかさずキックで追加点を狙い、その目論見通りジョーンズが左端からばっちり決めて9-3とします。大観衆は大喜び。

 前半はこのように攻守がっちりお互いぶつかり合って見ごたえのあるゲーム展開が続きます。お互い動きが激しいので、小さなミスで流れが止まり、ボールが相手に移ることが繰り返されます。ボール所持率、陣地支配率も前半はほぼ5分5分の展開でした。しかし前半途中からスクラムだけはしっくり行かない。今日のウェールズ敗因の一つはこのスクラムだったでしょう。

 ABのスクラムもペナルティーを取られることはありましたが、自陣でミスることは無く、逆に攻め込んでいてスクラムで猛烈なプレッシャーをかけ相手に速い展開をさせませんでした。ウェールズの勢いはこのスクラムのミスで途切れたようになって前半終了直前に1本、そして後半始まってすぐに相手ぺナルティーから6点追加して同点に追いつきます。

 そして後半はいつものマアア・ノムの縦の突っ込み、ムレアイーナの鋭いカウンターアタックに加えて、両ウィングが中央からデフェンスラインにセンターの役割みたいにどんどん突っ込んで行きました。このジョ-・ロコソコとシティバツのブレイクがまた強烈で、一つ二つのタックルには倒されない。そして倒れ際のパスがまた上手く後ろに繋がる。サポートもしっかりとその速さについて突っ込んできます。

 45分にそれらバックスのアタックでウェールズゴールライン手前まできます。一度はフォワードがラックからダイブしますが、止められ5mスクラムになります。このスクラムでも優位な状況だったのがこの日2度目になるジミー・カーワンがボールをスクラムに真っ直ぐ入れなかったことにペナルティーを取られウェールズは何とかボールをセンターラインまで戻し、観客も大歓声を上げ危機を免れたような感じになったのですが、ABのプレッシャーは更に激しくなってウェールズ陣地に居座ります。

 ウェールズも必死で守りますが、全員参加の強いABのアタックにブレイクダウンでウェールズ側に怪我人が出ます。一人ロックが倒れている中でもABのアタックは途切れず22mライン前までやってきたところでまたもう一人ウェールズの選手がピッチに倒れこみます。このブレイクダウンでウェールズ側が13人となったところを突いて横に広く、早くボールを展開してラインデフェンスが甘くなったところに突っ込んで最後はマアア・ノムがトライを54分に取ります。これで9-16となり、はっきり言ってこれでこのゲームは決まったようでした。

 ウェールズは57分からベンチから頼りのJamesHookをステファン・ジョーンズに代え、そしてハーフバックも同時に代えてきて観衆は盛り上がりますが、ほとんど防戦のほうが主体になってしまいます。ABは攻撃の勢いを緩めず、スクラムでも時間を掛けてプレッシャーを掛け続け、ボールが相手に渡ってもラインデフェンスに隙間を作りません。

 64分の時点で前半とはうって変わってPossesion7割、Territoty8割をABが占めることとなります。63分にカーターがスクラムをつぶして取ったペナルティーから3点を加えたのに対して66分にラインアウトで犯したペナルティーからウェールズ;JamesHookが7点差に戻すキックを狙いますが観客の期待に答えられず左側に外してしまいます。

 この後時計は瞬く間に進んでABは73分に3点を追加し、80分を過ぎてからウェールズが最後のアタックを自陣22m内から進める際にボールを奪って駄目押しのトライをジェロモ・カイノがとって9-22の後半はウェールズに得点を与えることなく快勝しています。またもやABはゲームが進むにつれ相手を封じ込め、ゲームの流れを掌握するのが相手より勝っているのを見せ付けたように思えたゲームでした。

 ウェールズ 9-29 オールブラックス (前半9-6)

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