2008年11月30日日曜日

11/30 イングランドvsオールブラックス 観戦記

 イングランドは全く巻き返し出来ませんでした。このままだと来年の6カ国対抗戦でも危ない感じです。やっぱりそのアタックはいいところ無く後半最初に1度だけきれいなブレイクでゴールラインに迫りましたが、詰めも弱く全体的にはABには歯がたたないと言った感じの印象が残ったゲームです。

 良く言えば主審の判定につぶされたような感じですが、先週のゲームの反省からか?またABの強いプレッシャーを跳ね返す為かラック、ブレイクダウンで先に飛び出す、手が出る、足が出るといったことでこのゲームでは4人の退場者を出しました。前半にイングランド10に対しAB5、ゲーム終了時ではイングランド19、AB10というペナルティーの数でイングランドにはイライラの募るゲームだったと思います。

 オールブラックスはほとんどの時間を有利に、あわてることなくいつもの強さを見せましたが、唯一ダニエル・カーターのキックがいつもより不安定でした。相手のペナルティーが多くてそのキックを披露する機会が多かったにもかかわらず、いつもなら入るような距離、角度でも結構外し、ぺナルティーキックを3回、コンバージョンは一番端からなので仕方ないですが、2回外しています。これがもし全部入っていたら先週イングランドが南アフリカに対して惨敗した時より更に得点差がついていたことになります。それでも前半は4回、後半は2回のキックで全得点32点の中の17点は彼がはじき出しています。またゲームを決めるトライの際には絶妙なキックパスを見せたり、強いタックルでのデフェンスも随所に見せこの後6ヶ月間はフランスに留まるいい旅たちの門出になったと思います。

 これでオールブラックスは今年の長かったテストマッチシーズンを15戦13勝で終えることになりましたが、来年に引き続きまだまだ強い攻撃ラグビーが崩れることなく見られそうな実感がわく今回の北半球遠征だったと思います。

 ゲーム前には8万2千弱も入った観客からの応援歌”SwingLowSweetChariot”大合唱でABのハカもかき消されるような感じで始まり、前評判よりは意外とイングランドサポーターの期待が高いことが分かりました。

 前半はお互いせめぎ合いが続く中ペナルティーで前進が止まりお互いキックで得点するような展開。しかしそのキックの成功率はお互い悪い。5分にまずABオフサイドでイングランド先行のチャンスが訪れますが、期待の10;TobyFloodのキックは大きく外れます。14分にはABの早いアタックにたまらずイングランドペナルティーでカータ-が3点を取ります。

 その後すぐにイングランドスクラムでトニー・ウッドコックがペナルティーを取られ3点返されます。これに続いてイングランドは攻め込みますが、22mライン前で強いABラインデフェンスに止められ、ボールを自陣まで戻され23分にこの日最初のイエローカードがラックでのペナルティーに対してイングランドフッカーに出されます。この22mライン手前左からのキックはカーターゴールポスト左に大きく外しますがすぐにABは攻め戻ってきて同じようなポジションでラックからのボールに9;DannyCareが飛び込んで動きを止めペナルティー。ここからのキックはカーターが決めて3-6となります。

 イングランドも一人足りない中をアタックを仕掛けますが、早く動いても、ボールを大きく動かしてもABのデフェンスを崩せず、たまらず10;TobyFloodがドロップゴールを見せますが、全く距離もたりないPoorなキックでボールはABに渡ります。

 ボールを持ったら強いアタックを仕掛けるAB、センターラインを超え相手陣地内にドライブで入り込む際にハイタックル気味のひじを出したフランカーに対して2枚目のイエローカードが出されます。ほぼ中央からのキックでしたがカーターのペナルティーキックは外れます。そしてイングランドは一時13人になりますが、すぐに一人目のフッカーがピッチに戻ってきます。しかし22mライン上でのイングランドスクラムではまだ7人のままでABに押し込まれペナルティー。これは難なくカーターがキックで決めて3-9。そして直後のイングランドキックオフからまたラック内で手を使ったことからペナルティーを得たカーターは45mほどの距離のあるキックを決めて前半は3-12で折り返します。

 前半最後の攻めに少しイングランドの勢いが見られ、その勢いのまま後半カーターからのキックオフボールを受けたフルバックが自陣から真っ直ぐと敵陣に向け見事なラインブレイク、12;リッキー・フルーティーに繋いだ後No8が引き続き真っ直ぐと突進。トニー・ウッドコックのタックルを交わしゴールラインまでまっしぐらとなったのですが、ムレアイーナに足首を引っ掛けられ倒されます。しかしABゴールライン前5mまで迫りイングランドはフォワードでトライを狙います。ABは硬いラインを引いて守ります。

 このときの声援はこの日最高潮だったと思います。またこれがこの日イングランド最高のトライチャンスでした。バックスにボールを出したところからABの強烈タックルにたまらずボールを前にこぼしチャンスはため息と供に消えてしまい、そしてまだ悪いことが続きます。

 ボールを拾ったジミー・カーワンが自陣ゴールライン5m前から一人走りぬけ、自陣10mラインのところまで駆け上がったところに横から10;TobyFloodがタックルに来る。このタックルが明らかにハイタックルの首に掛かるタックルで一発イエローカードが出されます。

 ABはここぞとばかしに逆襲、これに対しイングランド強いデフェンスを見せ、全体的にゲームが激しく動き始めます。お互いの激しい攻防から小競り合いもあって観客も大いに盛り上がる。48分にAB陣地内のスクラムでアリ・ウィリアムスがペナルティーを取られキッカーとして代わった15;DelonArmitageが見事にキックを決めると更に歓声があがり、面白くなりそうに思えました。得点は6-12。これが実はABがヨーロッパ遠征中で唯一後半に取られた得点となりました。

 しかしこの動きが出てきたところをまたイングランドのペナルティーで動きが止まりすぐに面白くなくなります。イングランドは10;TobyFloodが戻ってきて15人に戻り、ABの攻めを守り止めます。

 そしてイングランド逆襲でAB陣地まで入り込みますがこのアタックはノックオンで止まります。ABの強いところはこの日もスクラムでも見せ付けます。まず自陣のスクラムからボールをNo.8のソイアローが出してすでにアタックに動き出している9;ジミーコーワンにボールがわたるとデフェンスラインをブレイク、後ろから来るマアア・ノムにパスが繋がるとノムは真っ直ぐと相手陣地に走りこむ。22mライン手前で倒されボールを前にこぼしてイングランドボールのスクラムになります。

 このスクラムをABフォワードは押し切り、ボールがこぼれ出たのをコーワンが素早く後方にパス。ボールを拾ったコンラッド・スミスからノム/ロコソコと回って最後にムレアイーナにボールが渡ったときにはムレアイーナに追いつくデフェンスはいなくなり、彼は左隅にダイビングトライを決めます。

 これで6-17、その後すぐまたイングランドはラックでペナルティーを犯し6-20となります。イングランドはキックオフから攻めに転じようとしますが、懲りずにまたラックでペナルティーを犯しボールはすぐにABへ。そしてABの自陣からの逆襲を受け一気にイングランド陣地22mライン上まで戻ってくる。

 22mライン上では何とか食い止めますが、早くていろんなところから攻めてくるABについていけなくなります。中央でのブレイクダウンから出されたボールを受けたカーターが一度自ら突っ込んでいくフェイントを入れてデフェンスをひきつけてから右サイドラインより前方に向け小さくボールを蹴り上げます。これにムレアイーナが反応していてボールをキャッチした後はまた左隅にトライをとって10分前までは6-12だったのが6-25となります。

 この後イングランドは意地の逆襲でAB陣地22mライン内まで攻め込みますが、ソイアロー、アリ・ウィリアムスの強烈タックルにあってボールをあっさりABに譲ります。ボールを持ったら一気に逆襲のAB。中央でボールを受けたケビン・メアラムが穴の空いたラインデフェンスに走りこみロコソコにパス。ロコソコはタックルを受ける直前に後ろからサポートに来るノムにパス。パスが繋がったノムの前には誰もデフェンスがいなくなってノムはセンターライン少し手前からゴールポスト下に向け独走状態になります。相手デフェンス2人に追いすがられますが、上手くタックルも交わしてこれまたダイビングトライをポスト下に上げます。

 もうこれでゲームは決まった感じになりますがイングランドは76分にまたまたラックから抜け出さなかったことでイエローカードを受けて全くあきれる最後となりました。逆にABは最後まで強くて上手い姿を崩さず気持ちよくグランドスラムツアーを終えました。

 イングランド 6-32 オールブラックス (前半3-12)

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