今年のオールブラックスはこのゲームを落としたらその後どうなることか?とやたら心配されたゲームでしたが、やはりといっていいぐらいまマッコウらが戻って負けないゲームをしてくれました。
今年の初戦がニュージーランドで行えた事はラッキーだったでしょう。前半0-10と先行されたときは一瞬悪い気持ちが湧き出しそうになりましたが、次第に調子を上げていく姿を見てオールブラックスが得点できるチャンスはまだまだ出てきて負ける気はせずにゲームを見ることが出来ました。これはやはりホームゲームという安心感とチームメンバーへの信頼がそういう気にさせたと思います。しかしこの対戦はちょっとしたミスから勝敗が分かれることはたくさんあったのでゲーム自体への期待感は高まり続けました。
その期待通り内容は派手さは無いけどスピード感あり、密度の濃いプレイが満載のゲームになりました。お互い意表を付くプレイはせず、真正面から力でぶつかり合ったゲームだったと思います。
その中オールブラックスはバックスには頼らずフォワードの力でチームをどんどん引っ張っていった感じです。スクラムをがんばり、デフェンスのタックル、強いプレッシャーをどんどんフォワードの誰もが体を張って見せつけ、それがチームの意識にも繋がっていったような感じです。中でも最優秀選手に選ばれたジェロモ・カイノのこのゲームでの働きは素晴らしいものでした。
また注目を集めてすごいプレッシャーが掛かっていたと思われるステファン・ドナルドもその中実力を見せることが出来て完全に面目躍如出来ました。
ゲーム始まって序盤はワラビーズが硬いデフェンスでボールを奪い、ワイドにフィールドを使って早くボールを回し攻め立てることでABsのデフェンスを付き攻め込みます。4分にアダム・アシュレー・クーパーがABsの22mラインからのドロップオフボールを受けた直後のカウンターアタックでマッコウ、ステファン・ドナルドのミスタックルを誘い、彼からパスを受けたベリック・バーンズがこれまた上手いステップで切り込みシティバツ、ムレアイーナを抜き去りゴールポスト右横にトライを上げます。コンバージョン決まり早速0-7。
その後ABsは連続で敵陣でのラインアウトをミスり、8分にはデフェンスラックでペナルティーを取られ、追い風のキックとなるマットギットウは10mラインから易々と決めて0-10とします。
その後すぐこの日最初のワラビーズスクラムでアル・バクスターがバインディングのぺナルティーを取られドナルドに3点取るチャンスが訪れますが、右手22mライン手前からのキックを外します。悪い気持ちが起こりますが、この後の22mドロップオフからワラビーズの攻めでオフサイドがあり、しかもプレイヤーに遅延行為が見られたとして10m罰退されたところのワラビーズ陣地10mラインほぼ正面からのペナルティーキックを向かい風の中決めてくれて3-10とABsに得点が入ります。
この後ワラビーズは再びトライチャンスが訪れるのですが阻まれます。隙間の無い強いラインデフェンスを引くワラビーズはABsの攻めを封じ込めます。自陣から果敢に攻めあがろうとするABsでしたが、センターライン手前でのステファン・ドナルドのキックボールをチャージダウンして一気にABs22m内まで攻め込んだワラビーズバックス陣だったのですが、ギットウからのパスを受けたベリック・バーンズはサポートのジョージ・スミスを見つけることができず駆け戻ってきたABsのデフェンスにつかまりボールを奪われます。これがワラビーズの最大の追加トライチャンスとなりました。これを逃したことが後々大きく影響します。
このゴールライン手前8mでのABsスクラムでもバクスターがスクラムを崩したことでボールを10mラインまで蹴り戻すことが出来ましたが、このABラインアウトをミスりボールを奪われ、ラックでマッコウがペナルティーを取られます。サイドラインから5mほど入ったところからのペナルティーキックでしたが、追い風に助けられギットウが蹴ったボールはゴールポストに当たりながらもインゴールに吸い込まれて3-13となります。
この時点でゲームの3/4を通過した21分、今年はこんな場面からやたらと焦って攻撃に転じていたABsでしたが、マッコウやソイアロの言葉がチームを落ち着かせたと思われました。状況をしっかり捉えたアタックに出て行きます。風のことを計算に入れながらミスの連続しているラインアウトを修正し、強いデフェンスへの対処、相手の攻撃へのタックルなどが見直されたと思われました。
向かい風の為キックボールで敵陣にボールを送ることをなるべく避け、自陣からボールを運んでいく。ここで久しぶりのゲームでしたがシティバツの動きはさすがと思われるような動きが見られ、ワラビーズデフェンスを掻い潜っていく。またやっとラインアウトも上手く繋がりそこから流れるようにラック、パス、前進とワラビーズ陣地に入り込んでいきます。この辺りのパスもミス無く繋がる。しかもとても早い動き。そしてどんどん突き進んで行きワラビーズゴールライン手前5mまで達したところでコンラッド・スミスがラックからのボールを受け、流れとは逆にデフェンスラインに突っ込むと2人のタックルを受けたことで出来た穴にマッコウが突っ込んできて、スミスから出された上手いパスを受けたままゴールラインに低い姿勢で頭から突っ込み3人のタックラーを跳ね除けながらトライを取りました。
これで10-13まで戻したABsは動きが断然よくなっていきます。前半終了までにお互い長い距離でのペナルティーキックのチャンスが訪れますが、得点を加えることできず24分以降はABsの方が有利に展開して前半を終えます。
後半は前半よりもっと拮抗した状態での内容が続くことになりましたが、追い風の立場になったABsと硬くなったABsの守りに攻め手を欠いたワラビーズの攻撃によりゲームは断然ABsに傾いていきます。
ワラビーズのキックオフ後すぐに大きなキックボールでワラビーズ陣地深く入り込み、ラックでペナルティーを得てまず3点追加して同点にした後、ワラビーズの攻めに硬いラインデフェンスから相手のオブストラクションを誘って、このセンターラインに近い47mほどのペナルティーキックをドナルドがゴールポストど真ん中に決めてくれついに逆転の16-13とします。この間の時間はわずか5分。その後すぐに今度はコンラッド・スミスがラックから抜け出せずにペナルティーを取られ46分には再び同点の16-16となります。
このように少しのミスがそのまま大事な得点になるようにお互い激しい動きの中でもミスが許されない状況になっていきます。これに対処したのがベンチからの交代要員。この日のABsは終わってみると怪我人が出なくてとてもよかったのですが、ワラビーズの交代要員は怪我からの交代、または弱点として付け入られる心配のあるものが主だったのに対してABsのそれは断然戦力アップのインパクトプレイヤー補給になりました。
45分にまずケビン・メアラム、オーウェン・フランクスの2人を入れスクラム前列を補給し、52分にジミー・コーワンに代えピリー・ウィープを投入。これによりこの日3度目になるスクラムでワラビーズボールを奪い返しワラビーズのセットプレイを阻み、ブレイクダウンの回数を増やしていきます。
ワラビーズは向かい風の立場になったこととABsのラインデフェンスが硬いことから54分にABs陣地で得たペナルティーをキックで3点取ることはあきらめラインアウトからのトライ狙いに出ますが、ABs22mライン上であっさりノックオン。
逆襲に入ってABsはすぐにワラビーズ陣地内にキックボールで入りこみます。ワラビーズ陣地22mライン上でのラックから出されたボールを蹴り出そうとするマット・ギットウに猛烈ダッシュで襲い掛かったのがジェロモ・カイノ。彼はギットウが切り出すキックボールをチャージダウンするとそのボールを倒れながらもキープ。これにABsフォワード全員が怒涛のごとく攻め込み、最大のトライチャンス到来になります。ワラビーズも一斉にゴールラインに戻り守りを固めます。ABsはトライまでには及びませんでしたが、ゴールライン手前7m、ポスト正面でのラックでジョージ・スミスが痛恨のペナルティーを犯すとすかさずキックで得点を取り19-16とします。
この後再びワラビーズは逆襲に入りキックオフ後すぐまたもやコンラッド・スミスがラックから抜け出せないペナルティーを犯しますが、向かい風のギットウのキックはゴールポストからそれるように外れて行きます。
この後ABsはフォワードが特にそのデフェンスで強いところを見せつけプレッシャーをかけ続けました。ミス無く、隙間無くワラビーズの攻撃を封じ込み、終わってみれば後半はワラビーズの得点はたったの3点に抑えました。
71分にラックでのペナルティーから3点を追加して22-16としたABsはその後も守りとおします。75分にワラビーズもABs陣地10m入ったところでのスクラムでやっとABsからペナルティーを得て速攻に入れたのですが、この日十分パワフルな動きで脅威になっていた8.ワイクリフ・パルがフリーキックのボールを足先にタッチさせただけで、ボールから一度も両手は離すことなく走り込む単純なミスを犯してあっさりと反撃のチャンスをなくしてしまいました。
ABsはその後の5分は守り通し、ワラビーズの攻撃にも前進を許さず、ミスをすること無く、ペナルティーを与えず22-16で逃げ切りました。
オールブラックス 22-16 (前半10-13) ワラビーズ
2009年7月19日日曜日
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