2010年7月11日日曜日

7/11 オールブラックスvsスプリングボックス 第1戦 観戦記

 オールブラックスは南アフリカ相手に見事な快勝を見せてくれました。昨年の3連敗を払拭するような強さを見せつけ、期待した以上のボーナスポイントとなる4トライとも取り、そして南アフリカには一つもトライを奪わせない完璧な勝利でした。オークランドでの不敗神話はまだまだ続きそうです。

 それにしてもこの対戦はやはりすごい。6月に行われたアイルランド戦、ウェールズ戦とはまた一段高い領域でのラグビーゲームだったと思います。激しいぶつかり合い、ミスの少なさ、攻守のスピードなどなどこのトライネーションのゲームは見るものを断然ひきつけます。これが今年もまだまだ続くと思うと本当に毎週毎週が待ちきれない気分になります。

 オールブラックスはこのゲームで昨年の不安材料を見事に乗り越えたように思われました。南アフリカはラインアウトを支配できず、ブレイクダウンでオールブラックスのスピードある球出しを緩めることが出来ず、ハーフバック;リッキー・ジャニュアリーのハイキックがフォーリエ・デュピプリーズほど攻撃的なもので無いこともあって逆カウンターアタックが有効的に使えたこと、モーネン・ステインのドロップゴールが決まらなかったことなどが全て南アフイカを沈ませた結果に繋がったと思えます。

 それを助けたのが今年オールブラックスに復帰した者、そして6月まで怪我の為ゲームには出ていなくてこの大舞台が久しぶりのゲームになった者たちの活躍が大きな貢献になったのも今回のゲームの特徴でした。

 昨年はハイキックボールの処理のまずさからオールブラックスからは外されたジョー・ロコソコがボール・キャッチミスも見せずに鋭いアタックを見せ、前回からゲームに復帰したムレアイーナとトム・ドネリー、そして今回のゲームから復帰したマアア・ノヌが最高といって良いぐらいの働きを見せつけ、故障期間中のブランクが全く見られなかったのもすごいところでした。

 これ以外のオールブラックスも本当に誰もが素晴らしい働きでした。攻撃、そしてデフェンス共に全員が一体となって南アフリカを粉砕したようなゲームでした。これに対して恐らく次のウエリントン戦では南アフリカも対策を練ってくることが予想され、また来週はすごいゲームになりそうです。

 今回のゲーム、実は始まりはこんな結果になるとは誰もが思わない出だしでした。南アフリカサイドのキックオフから始まったゲームはいきなりジミー・コーワンのボックス・キックボールがバッキー・ボッサにチャージ・ダウンされ、モーネン・ステインのハイキックのボールをムレアイーナが受け損ない、1分40秒でやっとオールブラックスが自陣からン受けだせるように掛かった際に得たペーナルティーをダニエル・カーターがセンターラインから少し自陣に入ったところからのロングキックを外します。

 しかしこれらのことが時間が経過するにつれ逆にそれぞれの闘志に火をつけたようになっていきます。まずキックボールをチャージ・ダウンされたジミー・コーワンはボールを追うバッキー・ボッサのユニフォームを引っ張って、食い止め転がるボールに追いつきますが、このときバッキー・ボッサはカーワンに覆いかぶさる形で後ろからカーワンの後頭部にヘッドバットをかますという暴挙にでます。これには主審とか線審は気が付かなかったのですが、TVカメラはしっかり現場を捕らえていて再生ビデオが流されたときにはもちろん観客からは大ブーイング、観客の火にも油を注ぎ、カーワンも闘志を燃やします。

 そしてムレアイーナなどのバックスをターゲットとしたハイキックもその後は皆がミス無くしっかりと処理が出来るようになり、カーターもこの後は気を引き締め最後のコンバージョンキック以外の全てのキックを見事に決めるようになります。

 得点を最初にあげたのも南アフリカが先。モーネン・ステインは一度センターラインからのドロップゴールを試みますが、外れた後7分にオールブラックスのオフサイドから楽々ペナルティーキックで3点を取ります。
 しかし直ぐにオールブラックスのテンポの早い攻撃から南アフリカゴールラインに攻め寄ったところで南アフリカの強力デフェンスを破ることは出来ませんでしたが、バッキー・ボッサがラックでのプロフェッショナルファウルでイエローカードを受け、このペナルティーキックをカーターが易々決めて3-3と12分にはなります。

 この南アフリカが14人になったこともあってオールブラックスのアタックが南アフリカのデフェンスを翻弄させていきます。17分に南アフリカスクラムでのボールをリッキー・ジャニュアリーがハイキックで前線に蹴り上げます。このキックに反応するバックスはおらず、またそのキックボールも距離が出た為キャッチャーのジョー・ロコソコは全くプレッシャーも受けずに自陣22mラインでキャッチ。そしてすぐさまムレアイーナにパス。ここでボールを受けたムレアイーナが電光石火のカウンターアタック。ステップも入れながら中央突破。南アフリカ陣地に走りこみあっという間に相手22mライン手前までやってきたところで追随するマッコウにパス。パスを受けたマッコウは相手デフェンスから逃れるようにほとんど右横に走りこり、パス先を探す。そこに走りこんできたのがコンラッド・スミスでパスを受けたスミスはデフェンスタックルに捕らえられながらも右隅にトライ!!これで18分には10-3となります。

 この後ぐらいからマアア・ノヌの快進撃が始まります。この日のノヌは何やってもすごい。ラッキーな場面もありましたが、その従来の破壊力抜群の突進に加えて、パス、パスボールのキャッチ、そしてキックボールまで場面に応じて見事に使い分けます。周りのほかのバックス連中の動きもそれに併せて鋭く、素晴らしい動きを見せるのでどんどんボールがつながります。この日のバックスの中心はカーターではなくこのノヌとムレアイーナでした。前半2つ目のトライはこのノヌがこういった全ての彼の持ち味を出して奪うこととなりました。

 後半出だしはオールブラックスのペナルティーも連続して6点を南アフリカに謙譲しますが、この埋め合わせをオールブラックスはトライで返します。後半またもやオールブラックスは球出しの早さ、そしてボール回しのテンポを上げて南アフリカのデフェンスを乱れさせていきます。そのデフェンスラインの隙間にトム・ドネリーやブラッド・ソーンなどのフォーワードがピックアンドゴーでどんどん突っ込んで行きます。この突込みがまた素晴らしく、誰もが壁にぶち当たりながらも2-3歩は前進していきます。そして最後にはキエラン・リードがゴールライン手前5mから突っ込んでトライを取ります。

 この結果56分には27-9と点差が付き、両軍とも控えの選手を続々と出してきますが、白熱、激しいボールの奪い合いは続きます。南アフリカのアタックに対するデフェンスも崩れず、心配していたドライビングモールも後半最後にはオールブラックスが逆に南アフリカのに見せ付けるような場面もあって後半はオールブラックスのフォーワードが奮起。最後の最後に相手ラインアウトを崩してラックから押し込んだトライもフォーワードが全て勝ち取ったものになりました。

 バックスもフォーワードもどこにも穴が見つからない今のオールブラックスの勢いは来週のウェリントンでの南アフリカ戦でも期待できそうです。

 オールブラックス 32-12 南アフリカ (前半20-3)

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