またもやオールブラックスは勝ってしまいました。しかも逆転勝利で。しかも後半最後の20分での逆襲勝利。すごいです。誠にもって今のオールブラックスの連勝街道爆進はどこのチームも停めることはできなさそうです。このまま今年のテストマッチ全てに勝ってオールブラックスの歴史的連勝記録17も軽く伸ばしそうです。
このゲームではまたもやキャプテン;リチャードマッコウの姿が燦々と光り輝いくことになりました。逆転劇に繋がるトライを取ったことも言えますが、ゲーム始まってから終わりまでまたもやその疲れが全く見られない働き、そして逆転へ、勝利へ向けての確実なチームへの指示がなんと言ってもしっかりと見られたと思います。
このゲーム、私は負けても良い、ゲーム後半には負けるだろうと思っていたのですが、マッコウをはじめオールブラックスのベテラン連中はしっかりと信念を持って勝利に向かって行ったようです。得点差がついてもパニックには陥らずゲームの流れ、相手の弱点をその流れの中で確実に見つけて突いて行くことはオーストラリアに比べてキャップ数が豊かなベテラン勢がそろっていたところからも来るでしょう。これは今後のゲーム、特にワールドカップにも非常に頼りになりそうなことです。
その来年のワールドカップへの準備としてこのゲームはまた貴重な経験だったでしょう。前回のワールドカップと同様来年もしかしたらダニエル・カーターが怪我で不調かもしれない。このことから今回アーロン・クルーデンが先発されましたが、彼にとってはいい経験になったことでしょう。このゲームではやはりオーストラリアぐらいの相手だとまだまだ実力不足といったところでした。また同じく先発に入ったビクター・ビットも同じようにまだまだ力不足といったところを見せて、後半ジェロモ・カイノと代わった後のオールブラックスのアタック、ブレイクダウンが見違えるように強くなったところからも分かりました。けれどほかに若手の先発起用としてWingに入ったイスラエル・ダグは十分実力どおりのプレーを見せ、こちらは今後の活躍がもっと期待されるものになりました。
ゲームは初っ端からスリリングなテンポの早いアタッキングゲームが繰り広げられます。前半40分はハイスピードな展開が続き、お互いボールをフィールド内にとどめて常に動かし相手の隙を探っては突っこんで行く。これに対して両軍ともしっかりとガードを固め、攻めあがるデフェンスで突破口を許さない。そしてお互いわずかな突破口を突いてトライに向かってゴールラインに迫るけど、これまたお互い最終タックルでトライを許さないプレイが続きました。
ゲーム始まって最初のオーストラリアペナルティーからピリ・ウィープが確実にキックでしとめて3点先行した後、オーストラリアがアタックの場面を迎えるとボールを繋ぎながらそしてABのブレイクダウンでのペナルティー、またオフサイドなどを誘いながらオーストラリアも早いテンポで流れを止めず22m内へと突き進んできます。そしてあっという間にWingのロキー・ターナーが左サイドラインをパスを受けてから駆け上がり左隅に飛び込んできれいにトライを取ったと思ったのが、最終タックルに入ったコーリー・ジェーンがボールが地面につけられるわずか直前にターナーの足をサイドラインに引っ張り出しているのがビデオ判定で分かります。ノートライとなりますが、その前のオフサイドからペナルティーキックが与えられ3-3の同点になります。
このターナーは今季テストマッチに初めての出場でしたが、このゲームでは常にデンジャラスな存在でした。またフルバックのカートリー・ビールもボールを持ったら非常に危ないアタッカーでした。そのビールがオールブラックスの初トライを最終タックルでこの後直ぐ防ぎます。同点の後ABがオーストラリアの自陣からの攻めあげでボールをターンオーバーするとクルーデンがデフェンスラインの裏にグラバーキックでボールを転がします。これに上手くイスラエル・ダグがサイドライン際で拾ってそのままゴールラインに突き進みますが、ゴールライン手前でサイドラインに押し出されるタックルを浴びます。このタックルの直前に後ろから駆け寄ったマアア・ノヌにパスが繋がりノヌは左隅にタッチダウンするだけになりますが、このノヌにも強烈なタックルがカートリー・ビールから浴びせられ、いかにノヌでもどうすることも出来ずゴールポスト直ぐ手前でサイドに押し出されます。
この後まだトライセイブの場面は見られます。オーストラリアは一旦ゴールライン手前5mのラインアウトからボールをセンターラインまで戻しますが、そのセンターライン付近でのブレイクダウンでABにボールを奪われます。ボールを奪ったABはすぐさまバックスにボールを展開。ここでもノヌ、そしてイスラエル・ダグが上手くボールを繋ぎます。そしてダグがボールを持って左サイドライン際を駆け上がりますが、さすがに10mラインを越えた辺りでは相手デフェンスが周りにたくさんやってきます。ここで中央を見るとムレアイーナが手を上げてフリーになっていることの合図を送っている。そこでダグは相手タックルが飛んでくる直前に上手く中央に向けてボールを蹴り上げます。このキックボールがムレアイーナの前方、ゴールポスト下に向かって転がることになりムレアイーナはこのボールを追いかける。けれどこのプレイをいち早く察知したロキー・ターナーが同じくボールをそしてムレアイーナを追いかける。そしてムレアイーナはボールにゴールライン手前5mほどで追いつくことが出来たのですが、ターナーも同じくムレアイーナに追いつきタックルをかます。このタックルでムレアイーナはわずかゴールライン直前で止められトライを阻止されます。併せて他のオーストラリアバックス、フォワードの一斉に戻ってきてその後のABの攻撃を食いとどめますが、ラックでペナルティーが合ってABは3点を取るだけになります。
この3-6となった11分からABは前半得点することが出来なくなります。ABはこの後ミスが続くことになりオーストラリアの得点チャンスが続くことになります。
AB陣地中央まで入ったところ右寄りのオーストラリアスクラムからNo.8;Ben McCalmanがブラインドサイドを突いて駆け上がります。この際サイドライン寄りにはジェームス・オコーナーしかいなかったのですが、スクラムからビクター・ビットが勘違いしてか?すばやくこのオコーナーのカバーに入ります。その動きを見計らってMcCalmanはビットとスクラムの間をすり抜けて行きます。そして22mラインまで達したところABNo.8のキエラン・リードのタックルを受けますが、サイドライン際を駆け上がってきているオコーナーにパスが渡り、オコーナーはパスを受けたあとは何も障害なくゴールラインにダイブトライを上げました。
このトライの後のコンバージョンを右端からのキックをマット・ギットウは決めることが出来ず得点は8-6とこの日初めてオーストラリア先行となります。
このゲームもしこのギットウのキックが調子よければオーストラリアは楽にゲームを進めることができたでしょう。しかしこのコンバージョンを外した段階ではそんなこと誰もわからない。けれどこの後直ぐに訪れたペナルティーキックを再びギットウは外します。このキックは両方とも右側から。そして30分に再びペナルティーをABから奪うとギットウはこのキックはしっかり決め11-6となります。このキックは左側から。この時点でもしキッカーをビールに代えていたら状況は変わっていたかも?そんなことが後になって思われる場面が5分後にあらわれます。ノヌのハイタックルから得たペナルティーキックをギットはまたもや外してしまいます。
それでも前半終了間際まではオーストラリアは攻勢を続け最後にゴールライン手前まで攻め込みペナルティーを左サイドで奪ってギットウのペナルティーキックで3点を加え14ー6で折り返します。
前半終わった段階ではギットウのことがあるけど誰もがオーストラリア有利なのを疑わなかったでしょう。オールブラックスは今年のこれまでのゲームよりも明らかにアタックの精度が劣っていて、ハンドリングエラー、ミスタックルがオーストラリアをより多いことから前半の相手陣地22m内に入り込む時間はオーストラリアのそれより大きく下回っていました。けれど後半オールブラックスの巻き返しは誰もが期待したはずです。これはオーストラリアの選手にも分かっていたことで後半のスピードアップは警戒されていたようです。
しかしオールブラックスは後半序盤巻き返しを試みるも自らのミスで機会を逃し、逆に相手に追加点のチャンスを与えていきます。後半始まって3回も連続でマイボールのラインアウトをオーストラリアに取られます。
そしてAB陣地で攻勢を仕掛け、ABに防戦一方へと釘付けにし、ABのデフェンスラインに何度もアタックを仕掛けたあげく最後はウィル・ギニアのうまい判断からアダム・アシュレークーパーが左端にデフェンスラインを破ってトライを取ります。このコンバージョンを左からだったのですが、ギットウがまたもや外しますが19-6とこの対戦としては大量得点差がつきます。時間はまだ47分。
時間はまだ十分あったためABはこの後直ぐに得たペナルティーをウィープが丁寧に決めて3点返しますが、オールブラックスに流れが戻る様子は見られないまま激しい攻防の時間が流れ58分にオフサイドのペナルティーをギットウからやっと代えられたビールが右側からしっかりしとめて13点差にまた戻す22-9となります。
この時点で選手より監督陣が動きを見せはじめすでにビットーに買えジェロモ・カイノを入れていたのに加えて3人の選手を一気にベンチから送り出します。クルーデンをあきらめこの日ABデビューとなったコリン・スレイド、そして足の止まり始めた5;トム・ドネリー、3;オーウェン・フランクスに代えフォワードも補強します。
この補強の成果からかもしれませんが、この後からABの逆転劇が始まります。すでに前半終わりのほうからこのゲームではABのスクラムがオーストラリアを圧倒する場面が見られていました。22-9の直後、オーストラリア陣地でのオーストラリアボールのスクラムでペナルティーを奪うとマッコウの支持は3点を取りに行くのではなくてサイドラインからのトライ狙いとしてオーストラリア22m内のラインアウトとします。
このラインアウトから今年オールブラックスとしてはあまり見せなかったドライビングモールでゴールラインに迫ります。この後のゴールライン手前での両軍の攻防は非常に激しいものになりますが、何とかオーストラリアもゴールラインを死守します。7回連続のピックアンドダイブも跳ね返し、やっとABがバックスにボールを展開したところに猛烈ダッシュでボールを奪ったかに思えたのですが、長い長いアドバンテージの為再びボールはゴールライン手前5mのABボールスクラムへと戻されます。
そしてこの左端のABスクラムで前半ビットのミスからトライを奪ったジェイムス・オコーナーがミスります。スクラムに投げ入れられたボールをNo.8のキエラン・リードが拾い上げると同時に7;マッコウがブラインドサイドである左サイドライン側に体を移動させます。この動作から左側を一人守っていたオコーナーはキエラン・リードに襲い掛かりに入ります。リードはこのオコーナーとスクラムから離れてきたロッキー・エルソム2人に襲われかけますが、その直前に左側に動いたマッコウに上手くパス。このパスを受けたマッコウが難なくゴールラインを駆け抜けトライをあげます。
このトライが全てでした。このトライが生まれるまではオールブラックスもこのゲームだけは負けるかなと思っていたのがなんだか22-16の一発トライで逆転できる見込みがあるではないですか?そのとおりABは畳み掛けます。
オーストラリアのキックオフから再開したオーストラリアの攻撃をまたセンターライン上でペナルティーを取るとすかさずサイドラインにボールを蹴りだし、またフォワードがラインアウトから攻め込む姿勢。今度は一旦バックスにもボールが展開されますが、22m内に入ってからは断然フォワードが攻め立てる。オーストラリアも必死に守りますが、ABのアタックには断然勢いがあります。そしてゴールポスト下まで迫ったところでラックからのボールを今度はマッコウが後ろから走りこんできたリードにパスを出してリードがそのままゴールラインを切るよう突っ込んでトライを取ります。もちろんウィープの簡単コンバージョンは決まって22-23の逆転に成功。
この時点で時間は73分。まだ勝敗の行方はキック一本でどちらにでも転がる。ここから終了までは球場全体が騒然としたものになり、お互いのサポーターが声援を上がる。両軍のノンストップで行われる攻防に見ているほうものめりこみます。ABがオーストラリア陣地に攻め込むとオーストラリアの攻守に阻まれ直ぐに逆襲を受けます。オーストラリアがAB陣地に入ると先週の南アフリカ戦を多くの人は思い出したでしょう。そして78分にAB陣地10mのところで主審のホイッスルが吹かれる。もしやと思いきやこのペナルティーはカイノがブレイクダウンでボールを奪い、オーストラリアが犯したペナルティー。すかさずキックでボールをオーストラリア陣地22mライン付近まで運びABラインアウト。時間は79分。このラインアウトからのボールでモールを作りボールを停めていたのですが、79分45秒にバックスにボールを展開。これをオーストラリアは食い止めてペナルティーをABから奪う。そしてサイドラインまで一旦蹴り出して自陣10mのラインアウトから最後のアタックをオーストラリアは仕掛けます。サイドラインからボールが投げ入れられたときに終了のサイレンが鳴り響く。けれどボールはオーストラリアが持つ。このボールにABは猛烈に押し寄せます。そして何とかボールをバックスに展開することが出来たオーストラリアでしたが、このバックスにもABの猛烈タックルが押し寄せ、たまらずボールはノックオンで止まってしまい主審のホイッスルが吹かれる。この瞬間ABの誰もが両手を挙げて勝利を喜ぶ姿がとてもとても印象的でした。
ワラビーズ 22-23 オールブラックス (前半 14-6)
2010年9月12日日曜日
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