オールブラックスはまたもや相手チームを圧倒して勝利を収めました。けれどさすがに先週のスコットランド戦よりは苦戦を強いられましたが、常にゲームを支配してアイルランドが勢いに乗りそうな状況も早め早めにその根を摘んで行きそして最後は相手の猛攻を攻める守りで封じ込め勝利を確実にしていった感じです。
オールブラックスは最終的に20点差をつけて勝ったわけですが、常にアイルランドに形勢をひっくり返されそうな、得点も追いつき、越されそうな場面が続きました。それを常に安心してオールブラックスのリードを、そしてアイルランドに劣勢の気持ちをもたらせたと思うのはダニエル・カーターのキックだったと思います。
この日最初のトライが生まれるのはゲーム開始から30分を経過した後でしたが、それまでは相手の出方を探り合うように、そしてお互い同じようなボールを持って展開ラグビーに持ち込みラックなどで相手からペナルティーを得るとスコットランド戦とは違いカーターによるペナルティーキックを初めから狙いました。アイルランドもキッカーの10;サクストンがしっかり決められるキッカーであるためカーターが決めるとサクストンも決めるような展開が続きました。
このペナルティーキックの際は昨年からアイルランドのテストマッチでは有名になってしまった静寂のプレッシャーが相手には掛かられ、サクストンのときは静かに見守る?と言った感じのちょっと他では味わえない場面を見ることが出来ます。
この日カーターがプレスキックで外したのは最後のトライ後のコンバージョンキック1本だけだったのですが、他のコンバージョンも含めた7本のキックもこの静寂の中そしてサイドライン際などの難しい角度でもしっかり決めてくれたことは前述のように相手に常にプレッシャーを与えることになったと思います。またプレスキックだけではなく攻め込まれている時の相手陣地に蹴り返すキックも直接サイドラインを切ったりすることの無い絶妙なところにピンポイントでボールを送ることが出来て、これまたアイルランドにとっては振り出しに戻されるような自陣から苦労して相手陣地に攻め込まなければならない思いを抱かせました。
これに対してオールブラックスのほうはキックオフから常にボールを持ってフォワードとバックス全員が常に動き回り全員によるアタックが続けられ、たとえボールを深く自陣に戻されてもカウンターアタックが上手く利いてすぐさまアイルランド陣地に戻ってきます。そして硬い守りを引かれてもボールを相手に奪われること無く何度も何度もデフェンスラインの穴を探っていきました。このゲームではこのようにオールブラックスがテリトリー、ボール所持率も6割~7割以上を占める結果となりました。
このオールブラックスが攻め続ける中でもアイルランドはボールを一旦奪うとこちらも全員参加のアタックが繰り広げられ、これがなかなか強くて、ボールが繋がる。はじめはオールブラックスの強いデフェンスに穴をあけることが出来ませんでしたが、9-6とペナルティーキックでお互い点を取り合ってABがリードした直後の31分にアイルランドのハイキックでAB陣地の中央に落とすキックオフからボールを奪ってそのままなだれ込むように、そして早いボール回しで6;StephenFerrisがリチャード・マッコウの横に
出来たデフェンスラインの隙間に駆け込みトライを取ります。これで13-9とアイルランドリードとなりサポーターも盛り上がります。
けれどこの勢いは直ぐにスクラムでのミスでABにペナルティーを与え13-12となり、そして取られたら直ぐに取り返すといった感じで前半終了間際にやっとオールブラックスもアイルランドのデフェンスラインをこじ開け4;オンソニー・ボリックがゴールライン手前のラックから単独で飛び込みデフェンスタックルを引きずりながらトライを取ります。これで前半は13-19でオールブラックスリードで折り返します。
後半入るとABは10分の間にこのゲームを確実に手中に収める為のトライを2つ連続でとります。このゲームパターンはアイルランドも予想されたと思いますが、その勢いを停めることが出来ないほどABのプレッシャは強くて早いものでした。
後半の始まりはサクストンからのキックオフから。早速ABはムレアイーナが素晴らしいカウンターアタックでアイルランドゴールライン手前10mまで入り込みますがアイルランドもこれを防戦。しっかり守ってボールをAB陣地に蹴り返し観客も盛り上がるのですが、このサイドラインからのラインアウトをノットストレイトのミスであっさりABにボールを返します。そしてこのABボールのスクラムから始まる全員参加のアタックであっという間にキエラン・リードが右端にトライをあげます。
そしてこの後もアイルランドからのキックオフ後AB陣地になだれ込んでもあっさりノックオンでボールをABに渡し、ABの逆襲を受けます。これに対してアイルランドは自陣22mラインでこの猛攻を守ってABのノックオンでボールを奪うとサクストンはこのときは自陣からボールを繋いで攻めあがるのは無理と判断してか?プラン変更の為か?ハイキックでAB陣地までボールを高く蹴り返します。このボールの落下地点にバックスが駆け寄るのですが、その前にコーリー・ジェーンがこのハイパントのボールをしっかりとキャッチ、そしてすぐさま逆カウンター。この流れからあっという間にボールがワイドに展開されるとアイルランドデフェンスもついて来れずホセ・ギアーがラインブレイクした後リチャード・マッコウが上手くボールを繋いで最後はサイドライン際を駆け上がったスーパーサブの18;サム・ホワイトロックがこれまたデフェンスタックル2人を道ずれにしながら左端にトライを上げます。
この左端からのコンバージョンキックもカーターが見事に決め13-33の20点差がつきゲームは決まったように思えました。確かに観客もホワイトロックのトライが決まった時にはさすがにどよめきのようなため息のようなものが漏れていたと思います。しかし時間はまだ50分。これからアイルランドは底力を見せてきます。
キックオフ後再びABの猛攻に会いますが、自陣22mライン付近でABのパスボールをNo。8;JamieHeaslipがインターセプトして真っ直ぐとAB陣地まで単独で走りこみます。けれどさすがに彼はABバックス陣の早い戻りに単独で走るのをあきらめAB陣地22mライン手前で味方が上がってくるのを待つようにラックになります。このラックでABがペナルティーを犯すとアイルランドキャプテンは3点をキックで狙うのは止めてサイドラインに蹴りだします。
AB陣地22m内のラインアウトでアイルランドのトライ狙いのアタックが始まるのですが、ABは守りながらもモールで一度、そしてゴール前スクラムとなったときも1度ペナルティーを犯しますがこれをことごとくオドリスコルはトライ狙いを選択します。その甲斐あってスクラムから出されたボールがバックスに展開されるとそのオドリスコルが素晴らしい技量を見せてトライを取ってしまいます。このコンバージョンが決まれば勢いが持続されそうに思えたのですが、サクストンのキックボールはゴールポストに当たりサポーターからはため息混じりの声が上がります。
この後ABはやはり取られたら取り返す姿勢でアイルランド陣地深くまで攻め込みます。そして22mライン内まで入って得たペナルティーをABもトライ狙いで行きます。そして攻める対象となったのはこの時点ではスクラムでした。けれどこのときには2回もスクラムでアイルランドがペナルティーを犯したにもかかわらず3度目のスクラムの後はABのフォワードとバックスの連携ミスであっさりとボールをAB陣地に戻されてしまいました。
そしてアイルランドはAB陣地に入ると猛攻を仕掛けてきます。これに対してABはしっかりと守る。その攻防が時間が経つにつれ激しさ増して行きます。時計はどんどん進んでいきますが、この時点ではアイルランドがAB陣地22m内から引き下がらずアタックを繰り返します。そしてやっと74分にアイルランド22.KeithEarlsが左隅にデフェンスラインを破って飛び込みトライを取ったかに見えましたが、ビデオ判定の結果これはコーリー・ジェーンの最終タックルによってタッチダウンはサイドラインの上と見なされノートライの判定。ABの22mライン内ドロップオフに変わります。
この後アイルランドのアタックも続けられたのですが、ABはカーターによるキックボールで相手を自陣に戻したり、スクラムでボールを奪い返したりしてアイルランドの攻めの起点をつぶし79分にはアイルランドのパスミスでサイドラインに出たボールからABは目にも留まらぬすばやさでボールを繋ぎキエラン・リードがこの日2本目のトライを右端にとってアイルランドを突き放した形でゲームは終わりました。
オールブラックス 38-18 アイルランド (前半19-13)
オールブラックスvsアイルランド ビデオハイライト
2010年11月23日火曜日
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