2011年10月1日土曜日

南アフリカ対サモア 激戦の観戦記

 ものすごいゲームでした。予想はしていたもののそれ以上にドラマティックで激戦でした。サモアに肩入れしている私にはゲーム前から終了までズットこぶしに力が入りっぱなしのゲーム展開となり、南アフリカサポーターにとっても負ける訳が無いと思いつつもどうしても前のめりの姿勢を崩せない状態だったと思います。

 南アフリカ、サモア両軍とも最後まで本当に疲れ知らずの攻防を続け、超高速で展開するアタックに対して激しすぎる確実で強力なタックル、出せるテクニックを十分使ってのスクラムやキックプレイの連続で本当に見ごたえのある80分でした。こんなゲームを球場で見れた人は幸せだったでしょう。

 南アフリカはこのゲームで今後続くだろう同じような激しく、タフなゲームの下準備が出来たと思います。このゲームで確実に勝つ方法を披露したように思えますが、その鉄壁のデフェンスはさすがにすごいものでした。またこのチームには優れたキッカーがそろっていることを改めて示したゲームでも合ったでしょう。なんと言ってもモンスターキッカーといわれるフランソワ・ステインの長距離砲は驚異です。南アフリカにトライをもたらしたきっかけをつかんだのも彼の60mはあるペナルティーキックからでした。

 サモアがゲーム開始から攻め立て、南アフリカ陣地10m手前まで入ってもそこでペナルティーを与えるとフランソワ・ステインはペナルティーキックを試みます。このキックはゴールポストのアンダーバーに当たり得点は出来なかったのですが、一気に南アフリカはサモア陣地22mまで入り込みその後攻勢に出てハバナのトライにつながります。そしてもう一人キッキングマシーンといわれるモーネン・ステインがこのハバナが右隅のゴールポスト脇に飛び込んだ後のコンバージョンキックをサイドライン際から確実に決めます。この角度あるキックをスライスもフックもさせず距離、そして高さも十分にゴールポストど真ん中に決めます。この2人のキッカーがいることは他のどのチームにもペナルティーを与えることが出来ないプレッシャーをかけます。また二人ともドロップゴールの達人でもあって、フランソワ・ステインは過去何度もセンターライン付近からドロップゴールを決めています。

 オールブラックスにはダン・カーター以外にキッカーがいないことが弱点だといえば弱点です。南アフリカにはこの二人以外にもルーアン・ピエナー、そしてブッチ・ジェイムス、パット・ランビーもいいキッカーで在庫が十分あります。

 またこのゲームでは南アフリカのフォワードの強さも改めて見せつけられました。スクラムではこの日先発したビスマーク・デュプリースが素晴らしいテクニックを見せつけ、ラインアウトでも終始主導権を握る。今の南アフリカにはバッキー・ボッサが怪我の為抜けていますが、マット・フィールドとダニー・ロッソーで十分。ラインアウトからドライビングモールに持っていってどんどん前に進んでいく姿は’上手い’とどうしてもうならせます。ここでまたモーネン・ステインのキック力が活きてくるのですが、サモアに自陣深く攻め込まれていてもボールを奪うと大きなキックでボールを相手陣地サイドラインまで運べます。しかも相手バックスのクイックスローインをさせないように狙い定めたようにサイドラインから離れた広告看板裏までボールを蹴り出します。またドライビングモールが崩されてもその場所からペナルティーキックを狙えるわけです。オーストラリアの場合はこのラインアウトからのセットプレイが素晴らしいのですが、この南アフリカのラインアウトを確実に制覇してからのドライビングモールも脅威になります。

 こんな完璧に近い強さを見せる南アフリカ相手にサモアはどこまでもどこまでもまるでアタッキングマシーンになったような猛攻を見せました。前半13-0で折り返してから後半はペナルティーも犯さずとにかくボールを繋いで繋いで攻め続けます。これに対する南アフリカのタックル、そしてブレイクダウンでのボールを奪い取るプレイも圧巻でしたが、とにかくサモアのアタックは時間がたつにつれどんどん激しさ、スピードが増していくようにも思えました。

 そしてついに51分にトライを奪って13-5とした後も更なるトライを狙って疲れを知らないサモアのアタックは続きました。そして68分に何度目かのトライチャンスがサモアに訪れるのですが、南アフリカにボールを奪われ、しかもそのブレイクダウンでポール・ウィリアムスがレッドカードを受け退場処分。これでサモアも力尽きたか?と思いきやこの直後にベンチからビスマーク・デュプリースに代わり出てきたジョン・スミット(いつもはキャプテン)がなんとデフェンスラインで犯したペナルティーが一発イエローカード、ゲーム終了まで残り10分が両軍14名ずつになります。そこで再びサモアの闘志がみなぎるように連続アタックが始まりましたが、南アフリカもこれまた疲れを知らない鉄壁のデフェンスを繰り広げ前半蓄えた得点を守りきり13-5で逃げ切ったゲームでした。

Official RWC 2011 Site - Rugby Tracker South Africa-Samoa - Video
(激しすぎる南アフリカ対サモアのゲームハイライトビデオはこちらで見れます。けれどハイライトだけではもったいないゲームでした。本当に。)

1 件のコメント:

株税金 さんのコメント...

とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。